遺伝子組み換え食品の表示は

E食生活の知識

食卓にのぽり出した遺伝子組み換え食品

1998年は、日本の食卓にとって一つのエポックとなった年でした。それは、バイオテクノロジーの進歩によって発明された遺伝子組み換え食品が現実に食卓に登場したからです。外国から輸入された遺伝子組み換え大豆を使用した大豆加工品や食用油が製造、販売され始めました。
 97年にアメリカで栽培されている作物の10%は、すでに遺伝子組み換え作物であり、特に大豆は30%になつています。予測では、2005年には北アメリカで栽培される遺伝子組み換え作物は、全体の75%になるといわれています。

日本における表示の現状

O遺伝子組み換え1 食品の表示は、国レベルでは食品衛生法、あるいはJAS法に基づき規制されています。現在のところ、どちらも遺伝子組み換え食品の表示を何も決めていません。
 食品衛生法を所管する厚生省では、安全性が確認されている食品について表示する必要はない、との見解を示しています。
 JAS法を所管する農林水産省では、消費者に対する情報提供は必要という立場です。表示のあり方について懇談会を設けて検討を続け、98年末に一応の取りまとめを行い、各方面からの意見聴取を行っています。その取りまとめ案の内容は、A案とB案を併記しています。A案は、遺伝子組み換えの結果生じたDNA、あるいはたんばく質が残存する食品については表示を義務付けるというものです。B案は、DNAあるいはたんばく質の残存の有無にかかわらず、表示は任意とするというものです。例えば、A案ですと、遺伝子組み換え大豆を使用した豆腐は、表示の義務があり、食用油は表示義務がなく、しようゆは微妙ということになります。どちらの案も、非遺伝子組み換え作物のみを原料としている場合は、「遺伝子組み換えではない」の不使用表示を任意でできます。
 衆議院では、消費者問題等に関する特別委員会において、「可能な限りにおいてきちんと表示すべきである」との意見で一致しています。O遺伝子組み換え2

外国での表示の現状

 遺伝子組み扱え作物先進国であるアメリカ及びカナダでは、既存の食品と比較して著しい成分変化がない限り表示の義務はない、としています。
 EU(欧州共同体)では、やや複雑で、97年5月15日以降の新食品について、
① 組成、栄養素、用逸などが従来のものと同等でないもの
② 従来のものよりアレルギーを誘発しやすいもの
③ 動物遺伝子などが用いられており、倫理的な問題があるもの
④ 生鮮食品のように生きた遺伝子組み換え細胞を含むもの
 は表示が必要とされLています。97年5月14日以前に生産された遺伝子組み換え作物である大豆、とうもろこしについては、組み換えDNAあるいはたんぱく質が含まれている場合は、表示の義務があります。したがって、豆腐は表示の義務があり、食用油は義務がないことになります。
 食品の規格について話し合う国際機関のコーデツクスでも、遺伝子組み換え食品の表示問題を話し合っていますが、結論は出ていません。日本の生協などでは、消費者に対する情報開示の方針から、表示の義務付けを求めるとともに、遺伝子組み換え作物とそうでないものとの流通を分離するよう求めています。
国民生活センター 「くらしの豆知識2000」より





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