21世紀の健康づくり運動 健康日本21の取り組み

健康日本21とは

 現在、日本は高い健康水準を達成しています。しかし、その一方で、がん、心臓病、脳卒中などが死因の大きな割合を占め、高血圧や、糖尿病などで治療を受けている人も多数に上り、痴ほうや寝たきりなどで介護の必要な人が増加しています。また、歯の健康や、心の健康なども、生活の質に大きく関係する課題として、関心が高まっています。
 前記のような病気は、一人ひとりの生活のあり方(生活習慣) と深い関係にあり、健康な生涯を送るためには、生活習慣が大きな意義を持っています。アメリカの調査では、亡くなる人の多くがタバコ (19%)、食事や運動(14%)、アルコール(5%)などの生活のあり方によって、寿命を縮めていると推計されています。日本でも、例えば体を動かし、肥満を解消して血圧を下げる人が増え、喫煙者が現在の半分程度になるとすれば、脳卒中の39%、虚血性心疾患の38%の減少が期待できると推計しています。日本21の1
 このため、2000年4月から、「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)が進められることになりました。これは、2010年に向がて多くの人の健康が向上することを目指す取り組みです。

一人ひとりの心掛けからの健康づくり

 健康づくりは、一人ひとりが自主的に取り組むことが基本となります。多くの人に長寿が期待できる現在、かえつて生涯を通じて健康に対する配慮が求められるといえます。まず、①健康についての情報を集め、よく理解することが大切です。健康情報があふれているので、信頼できるものかどうかの判断も重要になっています。また、②健康に関連するさまざまなサービスを、上手に利用することが大切です。健康診断やその結果に基づいた指導は、健康を考えるよいきっかけです。③情報やサービスを自分の行動につなげることが目標です。生活習慣を変えることは簡単ではないのですが、「毎日の変化を簡単な記録にとる」、「一度に完ペきを目指さないで少しずつ取り組む」、「うまくできたことはほめる(自分にごほうびを出す)」というように、さまざまなコツをうまく使うことで、取り組みやすくなります。また、早めに医療機関に相談することも大切なことです。

個人を支援する条件づくり

日本21の2 このように個人が取り組むためには、周囲の条件が整っている必要があります。
 健康に関連した情報については、例えば、(財)健康・体力づくり事業財団が、インターネットで病気や生活習慣の分かりやすい情報を提供しています。
また、加工食品の適切な選択を支援するため、含まれるカロリーやビタミンなどについての標準的な表示法が定められています。
 市町村で行われる、健康に関連したサービスの例として、40歳以上を対象とした老人保健事業があります。老人保健事業では、健康診断を行うほか、2000年度からタバコ、高血圧、高脂血症、糖尿病を抱える人を対象に、個人ごとのきめ細かい支援の充実が図られることになっています。
 また、健康に関連した活動は、行政だけでなく、医療関係者、企業、マスコミ、ボランティアなど多くの関係者が担っています。エネルギー今後さらに、それぞれが役割を理解して活動することが求められます。これからの健康づくりは、一人ひとりの心掛けと、これを支える条件づくりによって進められます。
  
国民生活センター  「くらしの豆知識2001」より




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