生薬と漢方薬
自然に広く存在する草や木、動物や鉱物などの生薬を、長い経験と理論に基づいて組み合わせて用いるのが漢方薬です。ですから、漢方薬にはいろいろな生薬が含まれています。
自然に存在するものだから安全、という思いからでしょうか、漢方薬には副作用がないと考える人もいるようですが、決してそんなことはありません。注意して使用したいものです。
漢方薬と西洋薬
かぜの初期や肩こりに用いる葛根湯(かっこんとう)や、鼻炎や喘息(ぜんそく) に用いる小青竜湯(しょうせいりゆうとう)には、麻黄(まおう)という生薬が含まれています。これらを一緒に使用するのは、生薬成分が重なってしまうので、避けるべきです。
漢方薬・西洋薬 |
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また、麻黄にはエフエドリンという化学物質が含まれています。エフエドリンは、風邪やせき止めの市販の西洋薬のなかに、せきを抑える効果を期待して配合されています。ですから、小青竜湯と市販の風邪薬を一緒に飲むと、エフエドリンの作用が強く出過ぎて、心臓がドキドキしたり、血圧が高くなつたりすることがあるかもしれません。このほか、甘草含有漢方とグリチルリチン、小柴胡湯 (しょうさいことう)とインターフェロンなども注意が必要です。
このように、漢方薬と西洋薬は組み合わせによってさまざまな結果をもたらします。漢方薬も、安全に使うための知識が大切です。