なぜ多いゴルフ場での心筋梗塞発作

ゴルファーのここに問題がある

 ゴルフ場で起こる心筋梗塞は、ゴルフ場が心筋梗塞を起こしやすい環境を提供しているということでは決してありません。広い緑に満ちたフェアウェーや小鳥がさえずる林、木立をかけ抜ける微風は、むしろ心をなごませ、リラクゼーション(くつろぎ)効果が大きいものと考えられています。
 では、ゴルフというスポーツが、心筋梗塞を誘発するほどハードなのでしょうか。運動強度で分類するとゴルフは、ゲートボールと同じランクの「弱い運動」に分類されています。同じランクの弱い運動に分類されていながら、ゴルフではゲートボールの2倍も突然死が多いのです。エネルギー消費量からみても、ジョギングの半分である4~5METS (メット)程度です。METは新陳代謝量(metabolism) から生まれた言葉です。1単位すなわち1METとは、安静時の酸素消費量(約3.5ml/kg/分)をさしています。
 それなのになぜ、ゴルフ場で心筋梗塞が起こるのでしょう。それは、「ゴルファーに問題がある」ということに、もうお気づきでしょう。ゴルファーのライフスタイルに問題があるのです。
 まず、ゴルフ場で心筋梗塞を起こす人とは、
  ① 中・高年齢者に多い
  ② エグゼクティブタイプで社会でも重要なポストにある人が多い
  ③ タイプAの性格(前号記載)でアクティブな人が多い
 などがあげられます。
 日常の業務の忙しさから、車で移動することが多く、歩くことも少ないために、運動適応能力が低下している点に注目しなければなりません。仕事で業績が上がっていると、なんとなく身体も快調であると錯覚しがちですが、身体はそれだけ酷使されていることに気づくべきです。
 寝不足や、二日酔いのままゴルフをプレーすることは、自ら心筋梗塞への近道を走っているようなものです。特に、仕事を引きずっての接待ゴルフや、ストレスを背負ってのプレーは健康増進よりも突然死の誘因となることが多いのです。
 心筋梗塞が起きるのには「危険な時間帯」があります。ゴルフ場で発生した心筋梗塞も午前九時から十時にかけて集中して起こつています。この時間帯は、体内時計にコントロールされている生体リズムにより血液中の血小板という細胞の働きが活発となり、血栓が形成されやすい「魔の時刻」なのです。
 常日頃から、メディカルチェックを怠らず、ゴルフを含め、お好きなスポーツに適応できる健康体であるという確証を得ておくべきでしょう。個人個人の体力、健康度はそれぞれ異なっています。また、動脈硬化の程度も、動脈硬化指数や負荷心電図の測定などで正確な健康情報をつかんでおいてほしいものです。ゴルフ場で心筋梗塞を起こす原因は、ゴルファー自身にあるのですから。



inserted by FC2 system