有機農産物の認証・表示について

 改正JAS法に基づく有機食品の検査認証制度が、2000年6月にスタートしました。これにより、有機農産物または有機農産物加工食品の日本農林規格に適合するものであるかどうかについて検査を受けた結果、合格し、有機JASマークを付けたものでなければ、「有機」「有機栽培」等の表示ができないことになりました (なお表示の規制は2001年4月1日からスタートしています)。

◆有機食品の検査認証制度を制定した背景

有機食品の検査認証制度 近年、消費者の食品の安全性への高まりを背景に、農薬や化学肥料を使わない有機農産物等に対するニーズが高まっていますが、有機質肥料を使用しただけで「有機栽培」等と表示する例もあるなど、その表示について混乱が見られます。 また、有機農産物加工食品についても、原料となる農産物は有機的に栽培されていても、その後の流通・加工段階で有機的な方法で取り扱われたかどうかが不明なまま、消費者に誤認を与えかねない表示により販売しているものも見られます。このため、消費者及び有機農産物を生産している生産者の双方から、有機農産物等に関して適正な表示が図られるよう、検査認証制度の創設への要望が高まっていました。
 一方、国際的にも、国連食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)により合同で設立されたコーデツクス委員会において 「有機的に生産された食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドライン」 が1999年7月に策定され、有機農産物等の生産基準、検査認証の仕組みや表示について国際的な指針が示されたところです。このような状況を踏まえ、我が国の消費者の商品選択に資するよう、JAS法が改正され、有機食品の検査認証制度が創設されました。

◆検査認証制度の概要

検査認証制度の概要 農林水産大臣により登録された第三者機関 (登録認定機関)が、有機農産物の生産工程を管理または把握している者 (生産工程管理者) や有機農産物加工食品を製造または加工する製造業者を認定し、認定された生産工程管理者や製造業者が自ら、当該農産物等が日本農林規格に適合しているかどうかを検査して、その結果適合していると判断される農産物等について有機JASマークを貼付し、「有機」 の表示を行うことができるようになります。また、この有機農産物等を取り扱う小分け業者や輸入業者についても、有機JASマークを自ら貼付する場合は、登録認定機関から認定を受けることが必要になります。

◆有機農産物および有機農産物加工食品の日本農林規格

 「有機」表示ができる農産物は、「有機農産物の日本農林規格」 に基づいて生産されたものでなければなりません。この規格において有機農産物は、科学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として生産されなければならないこととなっています。
 また同様に、加工食品についても「有機農産物加工食品の日本農林規格」が定められており、原材料となる有機農産物の持つ特性が保持され、科学的に合成された食品添加物及び薬剤の使用を避けることを基本として生産されなければならないこととなっています。
 なお、減農薬や無化学肥料といった特別栽培農産物や有機畜産物、有機水産物及びこれらの加工品については、今回の制度の対象になっていません。
国民生活センター『くらしの豆知識2001』より





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