梅干しを干すのはだてじゃない

 梅の実というのは、まず生のまま食べられるということがありません。生のままだと毒性の強い青酸物質が含まれているため、梅干、梅酒、梅エキスなどに加工して食べるわけです。
 この加工方法がポイントで、加工後の梅の実はとても大きな力を発揮します。特に干すことで酵素が働き、独特のうまみが生まれ、また保存性を高めます。ちなみに梅干の保存性の高さを示す例として、昭和に入って江戸時代の梅干 (溶けて液状になってはいたが)が見つかり、品質に間題がなかったということがあるのです。
 さらに、クエン酸と呼ばれる栄養素があのすっぱさを生み出しているのですが、これは胃液の分泌を活発化させ、食欲増進を促します。大腸の嬬動運動を活発にして便通を良くする作用もあります。
 このクエン酸と同時に重要なのが、ピクリン酸という栄養素です。ピクリン酸は、疲労回復に絶大な効果があり、肝機能を高める作用もあります。
 梅干にはこのような働きのほかに殺菌作用があり、おにぎりや弁当などを長持ちさせたり、体内に入っても小腸内を滅菌する作用があります。梅干の殺菌力は、にんにくと食べ合わせるとさらに威力を増すことになります。
 このように、さまざまな効果を発揮する梅干ですが、最大の欠点は塩分が多いことです。一個に1~1.5グラムの食塩が含まれているわけですから、七~八個も食べれば一日の摂取限度量を超えてしまいます。特に非常に塩辛く漬けこまれた梅干を、すぐに飲みこんだりすると、胃の粘膜を傷めてしまうことがあるので注意しましょう。
 一日、一個と決めたり、あるいは減塩梅干を選ぶなどの配慮をして、健康づくりの強い味方にするといいですね。





inserted by FC2 system