改正JAS法のポイント

 「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」 いわゆるJAS法が改正され、2000年6月に施行されました。

◆改正に至った社会的背景

 近年、食品の消費形態が多様化する一方、食品の味や鮮度、健康、安全性などに対して消費者の関心が高まるようになり、より多くの食品に統一的で分かりやすい品質に関する表示を行ってほしいという声が高まっていました。
 また、有機食品について、表示の混乱が見られることから、検査認証制度を導入し、その適正化を求める声も高まっていました。
 さらに、規制緩和の動きのなかで、行政が責任を持つ社会から自己責任原則を基本とした社会への移行が求められており、また、国際的には世界貿易機関 (WT0)体制の下で「貿易の技術的障害に関する規定 (TBT協定)」 が発効するなど、貿易の円滑化に向けて国際的に公平で調和のとれた表示、規格制度が重要になつてきました。

◆JAS法改正のポイント

①食品表示の充実強化
 これまでの品質表示基準制度では、即席めん類、ハム類、ジャム類など64品目に原材料名、賞味期限、保存方法などの表示を義務づけていました。今回の改正では、一般消費者向けのすべての飲食料品が品質表示基準の対象となりました。

◆すべての生鮮食料品に原産地を表示

 これまでは、64品目のうち、ブロッコリー、里芋、ニンニク、根ショウガ、生シイタケ、ゴボウ、アスパラガス、サヤエンドウ、玉ネギの9品目の青果物にのみ義務づけられていた原産地表示が、すべての生鮮食料品 (農産物、畜産物、水産物)に拡大されました。

◆加工食品について横断的な表示基準の判定

 これまでは品目ごとに品質表示基準を作成していましたが、これでは新たに開発された食品の表示の適正化に的確に対応できない場合も考えられます。そこで、コーデツクス規格(FAO\WHO合同食品規格委員会) で定められている 「包装食品一般表示基準に準拠し、加工食品について横断的に食品全体に通用する一般的な表示のルールとして、名称、原材料名などについて、表示基準を定めました。
改正JAS法のポイント②有機食品の検査認証制度の創設
 有機食品については規格を制定 (コーデツクス規格に準拠)し、その生産または製造の方法について第三者認証機関が認定した生産者が生産したもののみ「有機」と表示できます。
③JAS規格制度の見直し

◆規格の定期的見直しの法定化、国際整合化

 5年ごとに既存の規格を見直すことを法定化し、不要となった規格の廃止などを積極的に進めるとともに、国際規格を考慮して規格の制定・改正を行います。

◆事業主自身よる格付表示の導入

 これまで登録格付機関等が格付けし、JASマークを貼付していたのを製造業者等(品質管理体制から、製品の品質の安定性や規格への適合性が確保されると認められる事業所)が自ら格付けを行い、JASマークを貼付することができます。

◆登録格付機関等への民間能力の活用

 公益法人等にのみ付与されていた格付権限を民間会社等に開放し、民間能力の活用を図ります。
国民生活センター『くらしの豆知識2001』より





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