かんで食べて健康になろう

1、口内浄化で虫歯予防
 食べ物をかむと唾液が分泌されます。唾液には、口の中の汚れを洗い流して歯の表面をきれいにし、口内を常に中性に保とうとする作用があるので、よくかんで食べれば、酸性やアルカリ性のものを食べても、唾液の効果で10分もすれば口の中はもとどおりになります。糖質が分解されてできた酸なども薄めてくれるので、虫歯や歯周病の予防につながります。
 また、唾液に含まれるパロチンとい、つホルモンは、カルシウムと結合して、歯の表面に少しずつ浸透し、強い歯を作る役目を果たします。乳幼児期は特に、食事のたびによくかんで唾液をたくさん分泌させ、乳歯の表面のエナメル質や象牙質を強化しましょう。
2、消化を助ける
 食べ物を歯で細かくかみ砕くと、唾液と混ざつて適度に水分が増し、飲み込みやすい状態になります。更に、唾液は消化酵素のアミラーゼを含んでいるので、食べたものを口の中で唾液と混ぜることによって有益な成分が食物に浸透し、体内での消化や吸収を促進するという重要な働きもあります。よくかまずに食べると、胃腸の負担が大きくなり、せっかく食べた栄養素が十分に消化吸収されずに通過してしまいます。かめばかむほど唾液の量が増えるので、よくかんでたくさん唾液を出すことが大切です。食事中にお茶やジュースなどを飲んで、絶えず水分を補給しながら食べると、唾液が十分に分泌されなくなるので、お茶などは食後に飲むように心がけましょう。
3、ストレス解消
 よくかんで食べると、あまりかまずにのみこんで食べるよりも満腹感が得られます。これは、かむことによって、早食いを予防することができ、ゆっくりとした食事になつてゆるやかに血糖値が上昇し、脳の満腹中枢も刺激されて満足感を覚えるからです。お腹が一杯になったという満足感は、緊張をほぐして落ちついた気分にしてくれます。ゆっくりと時間をかけて食事を楽しめば、それだけで精神が安定し、ストレス解消になるというわけです。ストレスから過食に陥ったり、ダイエットのリバウンドなどで食べても食べても満足できないときなど、意識してよくかんで食べることで、自然に食欲にストップがかかり、肥満の予防にもなります。
4、強いあごをつくる
強いあご 最近、うまくかめない子供が増えていると言われますが、その原因のいったんはあごが弱いことにあります。この、あごを育てるのが「かむ」という動作で、かむことで上下のあごの骨や顔の筋肉の発育を促し、強いあごをつくります。やわらかいものばかりをかまずに食べているとあごが発達せず、よけいかめなくなるという悪循環になりますので注意が必要です。
 歯はあごの骨に沿って生えていますから、あごが十分に発達していないと歯が正しい位置に生えず、歯並びにも影響します。きれいな歯並びのためにも、乳歯から永久歯に生え替わるまでに、しつかりした土台となるあごをつくつておくことが大切です。離乳食の頃から、口を動かして良くかんで食べることを身につけましょう。
5、脳に刺激を与える
 食べ物をよくかむと、頭部の骨や筋肉が動いて血液の循環が良くなり、脳神経が刺激されて脳の動きが活発になります。記憶力や集中力が増して学習能力が高まるだけでなく、運動能力や体の様々な機能の発達にも影響することがわかり、今や咀嚼(そしゃく)は子供の発育促進にとって、重要な意味をもつとも言われています。
 子供だけでなく、大人にとっても脳の老化を防ぐために、かむことはとても大切です。特に老人の場合、歯が抜けて良くかめない、また、軟らかいものばかり食べてかまないと言うことを繰り返すと、脳細胞への刺激が少なくなり、ボケにつながります。義歯になっても老化防止のために、よくかむようにしましょう。

5歳までに強い歯をつくる

 赤ちゃんがお乳を飲むのは本能的ですが、かむことはその後の訓練によって学習するものです。離乳食からはじまり、歯の発育段階に合わせた食事をきちんと与えていないと、かんで食べる習慣も咀嚼力も身に付かないのです。レトルトのやわらかいベビーフードばかりという食生活では、赤ちゃんはかみながら食べることに努力しなくなつてしまいます。乳歯が生えてきたら、その時期に応じた食材を調理して、かんで味わうことのできる献立を考えてあげましょう。
5歳までに強い歯 また、よくかむことができる強い歯をつくるために、カルシウムやタンパク質をたっぷりとることも大切です。永久歯に生え替わる前の、5歳くらいまでに、かたいものも嫌がらずにきちんとかんで食べられるようになれば安心です。




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