エコライフしませんか?Ⅱ

オゾン層の破壊が人類にもたらすものは?

 「南極の上空にオゾン・ホール発見」と伝えられてからどのくらいが経つでしょうか。気象庁の発表でも急速にオゾン層の破壊が進み、オゾンホールは年々拡大し、その規模は10年前の2、3倍にもなつたと報告されています。オゾンホールの面積は地球全体で南極大陸の1、5倍にまで広がり、日本上空でも1割強の破壊が観測されています。
 地球の誕生はおよそ46億年前といわれています。その中で私たち人類の歴史はわずか300万年。最初、炭酸ガスで満たされていた地球の大気は、はじめに緑の生命の発生で30億年以上の歳月を掛けて光合成を繰り返し、人類にとって不可欠の酸素を合成させました。そうした長い長いドラマの末、地上10㎞~50㎞の成層圏で光化学反応によって生成されたオゾンは人類やその他動植物にとって有害な紫外線を防ぐバリアの役割を果たしてきたのです。オゾン層は一気庄でわずか3mほどの極薄いレースのカーテンのようなものといわれています。そんな薄い膜が太陽からの有害な紫外線を遮断する重要な働きをしてくれているのです。そのお陰で生命は地上で生きることが出来るようになったのです。気の遠くなるような歳月を掛けて創り上げられたかけがえのない地球を私たちは私たちの目先の欲望のためにわずかの間に破壊し、今まさに生命の危機にさらされているのです。
サングラス さて、オゾンが1%減少することで地球に届く有害紫外線は2%増え、それによって世界で15万人が白内障で失明し、3万人が皮膚ガンになると予測されています。また身体全体の免疫力の低下によってウイルス性の病気にも感染しやすくなります。紫外線にはA・B・C波の三種類がありますが健康維持のために欠かせないビタミンDを体内で合成するのはA波でこれは心配有りません。しかしB波は危険で見過ごすわけにはいきません。海岸で長時間日焼け止めローションも塗らず皮膚を焼いたり、サングラスを着用しないのは大変に危険なのです。
 また農産物ではオゾンの10%減少で米の収穫は30%減り、その他の農産物も確実に減収になります。また、その他にも生態系への影響が心配されています。日頃私たちが呼んでいる 「フロン」は正式には「クロロ・フルオロ・カーボンズ (CFC)」のことです。このフロンはきわめて安定した物質で不燃性、その上毒性が低いといった優れた特性があり、今世紀最大の発明ともてはやされ1960年代から盛んに生産されました。フロンの用途は大きく分けて四つあります。
   ①冷却用=冷蔵庫、エアコン(クーラー・自動車など)の冷媒。
   ②洗浄用・・油やコミを浣い流す。精密機器・コンピュータの半導体の洗浄。
   ③発砲剤=ウレタンや発砲スチロール製品の発砲剤として。
   ④エアゾール・・ヘアスプレー、ペンキ、工業用スフレー
 以上のように私たちの暮らしのまわりはフロン製品で溢れています。フロン1個は数万個のオゾンを破壊するといわれそのフロンは数十年以上という長い期間をかけてやっと成層圏に到達します。現在オゾン層を破壊しているフロンは実は十数年前に放出されたフロンが原因となっているのです。現在はフロンの製造は中止になっていますが、空気中に放出されて既にオゾン層を破壊しているフロンは全体量の10%にすぎず、残り80%は未だ空中を漂い、あとの10%は私たちの身の回りのエアコンや冷蔵庫・の中で眠っています。オゾン層破壊の本格的被害が出るのは実はこれからなのです。
 国際的には早急にフロン回収が待たれます。私たちが心掛けることはできるだけものを増やさない、そしてリサイクルなどの取り組みです。物を買うときは「ノンフロンの物を」また廃棄の時には「フロンを回収して」とひとこと付け加えることも大切です。

温暖化する地球、その影響と取り組み

 地球の温度は太陽のエネルギーと地球からの熱放射のバランスで決まります。実はこの一世紀あまりの間に地球全体の平均気温は0.3~0.6度Cも上昇しました。地球が温暖化するのは二酸化炭素やメタン、フロン、亜酸化窒素などの「温室効果ガス」とよばれる物質の増加によるのですが、中でもフロンはよく言われるオゾン層の破壊だけでなく二酸化炭素の数千倍の温暖化効果のある大変危険な物質なのです。環境庁は今後100年で地球の平均気温は約3度C上昇、海面に至っては65mの上昇と予測しています。この数字はいったい何を意味しているのでしょう?
温暖化 先ずは私たちの主食である「米」ですが西日本での栽培は難しくなり品種の見直しの必要が出てきます。牧畜も餌となる牧草が減って繁殖に悪影響が出るでしょう。また砂浜の8割以上は消滅、ブナ林の40%以上が枯死するといわれています。同時に野性動物の絶滅は避けられないでしょう。
 都市部はエアコンの吐き出す熱と排気ガスで 「ヒートアイランド」と化し、オキシダント濃度が上がり光化学スモッグが増加します。一方でこのことは電力需要に拍車を掛けエネルギー問題は益々深刻化することになるのです。また川の水量が減少し水不足や水温の上昇で水質の悪化がすすみます。湖水でも富栄養化で同じ事が言え、私たちの飲み水に問題がでてきます。予測される被害の一部をあげましたが、その他にも自然生態系の破壊や私たちの生活に数々の深刻な事態をもたらすのです。絶望的な思いに駆られますが対策は有るのでしょうか。まず二酸化炭素増加の原因は石油やガス、石炭などの「化石燃料」の使いすぎからきているのです。温暖化をくいとめるには大気中の二酸化炭素を現状のまま維持する努力をするか排出量を60~80%減らさなければなりません。経済大国日本では1人あたり一日10Lの石油を消費しています。これは世界平均の二倍以上に当たります。また日本全体の二酸化炭素排出量のおよそ2割が家庭でのエネルギー消費によるものだということです。国際間、政府レベルの取り組みも急がれますが、日常生活で細やかに考えひとりひとりの小さな取り組みもたいせつなのではないでしょうか。
エアコン 具体的にいくつかの例をあげてみましょう。先ずは日常的に無駄なエネルギー消費を減らすこと。電気やガスは上手に使いたいものです。エアコンの設定温度を2度C上げるだけで消費電力を2割もカットできます。厚めのカーテンで冷暖房効率を上げましょう。フィルターの掃除も忘れずに。ガスでは調理器具を工夫すると良いでしょう。圧力鍋や無水鍋などを使うとエネルギーは1/3程度で済みます。風呂には家族が続けて入るだけでガス消費はずいぶん違うものです。太陽熱温水器などを利用したり、洗濯物の乾燥は乾燥機を使わず太陽のもとで乾かすなどもつと自然のエネルギーを活用する工夫も大事です。
 また住まいでは、断熱材を用いたり、風の流れのある設計も無駄なエネルギーを省きます。私たちの暮らしに今や無くてはならない自動車もマイカー通勤を自粛し、地域や企業ぐるみで公共の交通手段の利用をすすめるべきでしょう。当然の事ながら「無駄な物は買わない、使わない、捨てない」でリサイクルに心掛けましょう。買い替えの前に修理可能か確かめてみることも肝心です。
地元産の旬のもの 世の中上げてのグルメブームも実は困りもの。珍しいもの、遠くから取り寄せたもの、季節はずれの野菜や果物 (ハウス栽培など) それらは全て余分なエネルギーがかかったもの、地球に負担を掛けるものと考えるべきでしょう。食べ物は出来るだけ地元産の旬のものを食べましょう。
 そして忘れてならないのがフロンガスの回収です。エアコンや冷蔵庫の冷媒として利用されたフロンガスは廃棄処分の時には必ず抜き取ってもらって下さい。フロンガスはオゾン層の破壊の原因物質で有るばかりか、地球温暖化には二酸化炭素の数千倍の威力のある困りものなのですから。




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