高脂血症

 血液中に脂肪が異常に増加した状態を高脂血症といいます。それが長く続くと動脈硬化が生じ心筋梗塞、狭心症等の病気を起こすようになつてきます。高脂血症とくに高コレステロール血症があると血管の壁にコレステロールが沈着するようになり、そうなると血管の内腔は狭くなります。脂肪がいっぱいつまっていて、ブヨプヨと軟らかいふくらみをつくるので粥腫(じゅくしゆ)ともいわれています。心臓を取り巻いている心筋に酸素とエネルギーを供給している動脈に動脈硬化が生じれば先にのべたように心筋梗塞や狭心症、脳の動脈に生じれば脳梗塞などの病気をひきおこすのです。
 高脂血症には脂肪の合成、吸収、肝臓や血液中での代謝などの過程の中に先天的な異常があるために血中の脂肪がふえてくるものと、ある種の病気アルコールの飲み過ぎ、薬剤などが原因で血中に脂肪が増加するものがあります。
 高脂血症の多くは無症状です。ただ、自分の目で血管の中が見えないので日頃から十分予防に心がけることです。

=症例=

 50歳の会社員Kさんは、身長170cm体重87kg筋肉質で食事量も多く太っています。
 かなりのヘビースモーカーでたばこを1日30本~40本、そんなある日、今まで経験したことのない胸の痛みを覚え不安な気持ちで診察を受けました。
 禁煙してからは口寂しく最近間食がとても多くなっていたのです。
 血液検査の結果Kさんはコレステロールが高くリポたんばくが非常に低くなつていて高脂血症と診断されました。幸い心職のほうには異常はみられなかったのでKさんは食事療法から始めることになりました。
 Kさんはまず体重を落とすことが必要で15kgの減量からスタートです。糖分のとりすぎに注意し良質なたんばく質を摂取しながら全体のカロリーを減らす食事にします。医師のアドバイスどうりの食事を考慮し適度な運動も取り入れ一ヶ月でコレステロールは下がりリポたんばくは上がってきて体調の変化にKさんは満足しているとのことです。

血液中の総コレステロールを低下させるための食事療法

・低エネルギー食とする
 肥満を合併していることが多いため、減食・減量により血中コレステロールを低下させる、摂取エネルギーの制限は肝臓でのコレステロール合成を抑制するためにまず第一に必要なことです。
・コレステロール摂取量を300mg/日以下にする
・食物繊維を増やす。果物に多いペクチンや海草に含まれる水溶性の食物繊維には血中コレステロール低下作用があります。
・甘いものの制限
・アルコールの禁止
    コレステロールの多い食品一覧

主な食用植物油の種類とその特徴

①べニバナ油
 ペニバナの種実が原料。
 リノール酸含量は植物油中一番で、血清コレステロールを下げる作用も高いが、酸化されやすい。
②コーン油
 トウモロコシの種実の胚芽が原料。
 リノール酸のほかに、植物ステロールが豊富。日もちもよく、熱安定度も高い。
③大豆油
 大豆の種実が原料。特にリノール酸、ビタミンEを多く含んでいる。
④米油
 稲の種子の種皮及び胚芽が原料。
 オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などのほか、植物ステロールを豊富に含むので、血清コレステロール値を下げ、動脈硬化を防ぐ働きがある。
⑤ごま油
 ごまの種子が原料。リノール酸、オレイン酸を豊富に含む。変質しにくい。
⑥菜種油
 菜種の種子が原料。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを豊富に含む。
⑦綿実油
 綿の種実が原料。リノール酸、ビタミンEともに豊富。
⑧落花生油
 落花生が原料。オレイン酸が多く、リノール酸、アラキドン酸も含む。
⑨オリーブ油
 オリーブの果肉が原料。成分のほとんどはオレイン酸だが、リノール酸も含む。
⑩ひまわり油
フルーツ ひまわりの種子が原料。リノール酸をべニバナ油と同じくらい含むほかビタミンEも多いので、血清コレステロールをよく下げる作用が高い。

コレステロール値の高い人の食事例

 動物性脂肪を控えることがポイントになります。
 肥満予防上、摂取エネルギーは一目1800kcalたんばく値90gとし、コレステロールは300mg以下にします。
 動物性脂肪を減らすため肉類は脂身を除いた赤身部位を使い調理法も網焼き、ゆで物など脂を落とす工夫をします。
食事献立の例  海藻やこんにゃく、大豆製品を活用しましょう。
 特に豆腐はコレステロールゼロの食品です。

ある一日の献立例






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