弁膜症、手術の適否と時期について

Q、中学生の娘が軽い弁膜症といわれました。手術の適否、何才くらいで受けたらよいのかなどを教えてください。また将来、子供は生めるでしょうか。

A、弁膜症は、病変におかされた弁とその程度により、症状も手術の時期も異なってきます。軽い弁膜症ということなので、症状はなく、多分、心臓の雑音があるということで発見されたのだと思います。
 小児期や若年者の弁膜症は、その原因から、先天性弁膜症と後天性弁膜症に分けられます。後天性弁膜症はさらに、リウマチ熱に続発するもの、川崎病の後遺症として発症するもの、心筋炎に続発するもの、外傷によるものなどがあげられます。まず、弁膜疾患を起こすような病気や事故にあっていないかを考えてください。それにより、弁膜症の経過もかなり異なつてきます。
 最近は、超音波診断装置により、弁の変化をリアルタイムにとらえることができるので、部位診断や変化の程度を知ることが容易になってきました。
 弁膜の病変部位と病態により、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、連合弁膜症などの病変に分類されます。
 リウマチ性弁疾患では、僧帽弁膜症が八十~九十%、大動脈弁膜痘が十~二十%、その他の弁膜症は、例外的といってよいほど少なくなっています。僧帽弁自体の原因不明の粘液変性による僧帽弁逸脱症候群は、若い女性に多く見られます。これは僧帽弁が収縮期に左房内に膨隆し、その際、僧帽弁逆流を生じ、収縮中期のクリック音とそれに続く収縮後期雑音が聴取されることが多く、しばしば動悸、胸痛を訴えます。
 弁膜症では、症状が軽度であれば、合併症や症状の変化に注意しっつ経過観察を行うのが原則です。僧帽弁膜症の場合には、肺うっ血が主体で、徐々に症状が進行するのがわかりますが、大動脈弁膜症では左心不全になるまで全く自覚がなく、急に病状が悪化して手遅れとなることもあります。
 手術の適否に関しては、やはり内科的治療で改善が望めなくなったものや、日常生活で疲労、動悸、息切れ、狭心痛を起こすようになったときが目安といえましょう。また、全身状態が急激に悪化することが予想される場合は、緊急手術となります。
 待期的手術を行う場合には、年齢や再弁置換の時期、分娩の必要性などが総合して決められます。とくに小児では成長が、女性では分娩が問題となります。一般に人工弁を置換した場合には、血栓形成を予防するために抗凝固療法を行いますが、妊娠出産を希望する場合には、抗凝固療法の必要のない生体弁を使用します。僧帽弁の癒着のみであれば、弁置換をせずに、弁の切開術だけですむこともあります。
 妊娠継続の可否は、手術前でも、手術後でも、肉体活動の制限がなければ妊娠しても問題はないでしょう。運動時に身体活動が軽度に制限されるなら、専門医との協力により妊娠は可能です。しかし、心不全や、身体活動が著明に制限される場合には、妊娠は避けたほうがよいでしょう。





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