残留農薬基準はどうなっているの

●農薬の現状
 日本で使用されている農薬は現在、約300種類、世界で使用されているものは約700種類といわれています。
 植物の害虫を駆除したり、殺したり、除草等の目的で使った農薬が野菜や果物等の農作物に残ることがあります。これを残留農薬といいます。
●残留農薬基準
 日本における農産物に対する農薬の残留許容量は、厚生省が食品衛生法に基づいて定めた残留農薬基準と、環境庁が農薬取締法の規定に基づいて定める登録保留基準の二つの基準で設定されています。いずれの基準も設定にあたっては、一日摂取許容量(ADI=人がその農薬を一生涯にわたり毎日食ベ続けても、人体に害がないと考えられる一日あたりの摂取量)を超えないことを基本的な考え方としています。R残留農薬1
■食品衛生法に基づく残留農薬基準
 厚生省は、食品衛生法第七条第一項に基づく食品規格の一つとして、食品に残留する残留農薬基準を179農薬、約130農産物 (1998年10月現在)について約8,300の基準を設定しています(2000年をめどに200農薬に残留基準の設定予定)。
 この基準を超えるものは、販売などが禁止されています。これは国内の農産物だけでなく輸入農産物にも適用されます。
■農薬取締法に基づく登録と登録保留基準
 農薬取締法の規定により、農薬の製造業者及び輸入業者は農林水産大臣の「登録」を受けなければ、その農業を販売することはできません。
 農産物への残留に関する基準として環境庁長官が定めた「登録保留基準」がありますが、これは農薬登録に際して考慮される基準です。農作物や土壌への残留性、魚介類等の水産動植物への毒性、水質汚濁性等の環境保全の観点から定められています。
 基準を超えても販売禁止等の行政上の処分はなく、また、国外で農薬が使用された輸入農産物は、この基準の適用は受けません。
■国際残留農薬基準
 コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)が定める国際基準です。食品衛生法の残留農薬基準に設定されていない輸入農産物の安全性を判断するために、この基準を一つの参考にしています。
特別扱い
R残留農薬NO
NO!!

●ポストハーベスト農薬
 収穫後の農産物に、貯蔵・輸送中に発生する害虫やカビ防止等の目的で使用される農薬です。日本では収穫後の農産物は食品と見なされるので、くん蒸剤を除き輸入柑橘類のカ
ビ防止剤等は、食品添加物と指定されています。
 厚生省は農薬の使用時期が収穫前か収穫後かということより、どのような農薬がどのくらいの濃度で残っているかが重要ということで、ポストハーベスト農薬の特別扱いはしていません。
●食品中の残留農薬調査結果
 国及び都道府県では毎年食品中の残留農薬実態調査を行っており、その検査結果を公表しています。97年10月に発表された厚生省の「食品中の残留農薬検査結果」 によると、96年度に行われた検査総数は36万件。このうち残留基準値が設定されている約21万件のうち、約99%からは農薬は検出されませんでした。また、検出されたもののうち、基準値を超えたのは0.03%でした。日本で流通している農産物の農薬残留レベルは低いようです。
国民生活センター『くらしの豆知識2000』より





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