食品添加物の基礎知識

食品添加物とは
 食品衛生法では、食品の製造過程で、または食品の加工、保存の目的で食品に添加したり、混和したりして使用するものと定義されています。わが国では、戦後、食品添加物(以下、添加物)の安全性確保のために世界に先駆けて指定制度をとりました。1996年の法改正により添加物は指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物に分類されました。指定添加物は化学的合成品で351品目、既存添加物は天然添加物で489品目あります。第七版食品添加物公定書が厚生省から公表され、規格基準が収載されています。
食品添加物の指定と削除
 厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会が次に示す考えに従って調査、審議をします。
(1)安全性が実証または確認されたもの
(2)有効性が次のいずれかに該当すること
食品の栄養価を維持させるもの (強化剤等)
特定の食事を必要とする消費者のための食品の製造に必要な成分などを供給するもの (甘味料等)
食品の品質保持、安全性の向上、味覚や視覚刺激の特性を改善するもの (保存料、調味料等)
食品の製造、調理、運搬などの過程で補助的な役割を果たすもの (製造用剤、乳化剤等)
一方、使用によって医療効果を目的とする場合や、食品の特性や品質を変化させて消費者を欺まんするような場合は指定されません。指定されたものでも最新の科学に基づいて繰り返し安全性が検討されています。安全性に疑義が生じたり、安全であっても必要性が乏しくなった場合には、指定が取り消されます。
食品添加物の種類と用途
 添加物を用途で分類すると次のようになります。
(1)食品の製造、加工に必要なもの ふくらし粉(リン酸塩、炭酸塩)、品質改良剤 (エリソルビン酸、d-マンニトール)
(2)食品の栄養価を維持強化させるもの 栄養強化剤(鉄塩、ビタミン、アミノ酸)
(3)食品の腐敗、変敗、化学変化を防ぐもの 保存料(安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、バラオキシ安息香酸エステル)、酸化防止剤(アスコルビン酸、BHT)
(4)感覚刺激特性を向上させるもの 着色料(食用黄食四号、ペニバナ色素、カラメル)、甘味料(サッカリンナトリウム、アスパルテーム)
食品添加物の安全と品質の確保
 添加物に指定する際、最も重要なことは安全性です。そのため亜急性・慢性毒性試験、さらに発がん性、催奇形性、繁殖、突然変異原性などの試験が行われ、安全性が評価されます。その結果を人間に読み替えるために、最大無毒性の10分の1、さらに個人差を考慮してまたその10分の1を、一日摂取許容量(ADI)とします。安全性が確認されると、その物質の純度や品質を確保するために規格が、過剰使用を避けるために使用基準が定められ、摂取量がADIよりずっと少なくなるように配慮します。既に許可されている添加物も同様の試験が繰り返し行われます。添加物を使用した食品は保健所で、また輸入食品は検疫所で検査、指導、取り締まりが行われています。
使用された添加物の表示
 添加物を使用した食品
は表示義務があり、購入するときに添加物の使用の有無と種類を知ることができます。保存料、甘味料、着色料では用途名と物質名、例えば、「保存料(ソルビン酸K)のように表示されています(Kはカリウム)。せっかくの情報ですから、おおいに参考にしたいものです。
国民生活センター「くらしの豆知識2000」より





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