子供の食生活と生活習慣病

医者  子どもにも生活習慣病の予備軍が増えています。小・中・高校生のなかで、肥満が約10%、高コレステロールも約10%に認められています。その原因は食習慣と運動不足です。
 今、子ども達に正しい食育を行うことの重要性が認められるようになってきています。
食育とは
 食育というのは、将来も健康を保つために食事に関する必要な知識を与え、特に子どもに正しい知識を十分持たせる教育をいいます。子どもも、中学生以上になったら、その食事が健康によいかどうかの判断をできるように教えます。
 特にコレステロールの高い子どもや肥満児には、食べ過ぎてはよくない食品と、安心して食べてよい食品とを、理由も合わせてよく理解させます。F子供肥満
肥満には二つのタイプがある
 大人でははっきりしていますが、肥満児にも内臓脂肪型と皮下脂肪型とがあるようです。前者は肝臓とか内臓の回りに脂肪が溜まるタイプです。これはりんご型と呼ばれ、内臓の回りについた脂肪は血圧を上げるホルモンなどさまざまなホルモンを分泌するため、高脂血症とか高血圧、糖尿病などの合併症が多くなります。ウエストとヒップの差が限りなく小さくなるのが特徴です。
 これに対して、若い女性などは、お尻や太腿に脂肪がつく皮下脂肪型の肥満になります。これは、洋梨型と呼ばれ、合併症の頻度が、りんご型に比べて少なくなります。やせようと努力したときに、洋梨型は比較的容易にやせられるのに村し、リンゴ型はなかなかやせられないようです。どちらのタイプの肥満になるかは遺伝子が大きく影響するようです。
脂肪は量と質を考えて
 脂肪は1gの熱量が9キロカロリーと高いので、頼り過ぎは肥満になりやすいのですが、必要量を摂らなければ、活発な運動はできません。
植物油の摂り過ぎは禁物
 子ども達は、ハンバーグやカレーライスなど動物性脂肪を多く含んだ食べものが大好きです。動物性脂肪の積り過ぎを抑えるために、植物油ばかりを用いるというのも、問題があります。
一時、リノール酸が多い紅花油が人気になりましたが、リノール酸を多く摂り過ぎると、乳がんや大腸がんなど西欧型のがんや、アレルギー性の病気にかかりやすくなるともいわれています。F451
動物性脂4、植物性油5、魚油1の割合で
 むしろ、しそ油や魚に多いアルファリノレン酸を摂ることが必要だということが分かってきました。
魚油には心筋梗塞を防ぐ働きがあるEPA(エイコサペンタエン酸)も多く含まれているので、実際には動物性脂肪4、植物性油5、魚油1の割合で食べるのがよいとされています。
魚を食べる習慣を
 今、魚嫌いの子ども達が増えています。特に焼き魚が苦手です。家庭で魚を食べさせていないことと、箸の使い方が下手なために上手に魚を食べられないというのが理由のようです。
 親の箸の持ち方が悪いと、子どもも持ち方が悪い、という調査結果も出ています。子ども達に家庭でよく魚を食べさせるようにするとともに、箸の使い方にもよく気をつけましょう。
国民生活センター『くらしの豆知識2000』 より





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