改正されたJAS法

医者  食品の品質表示義務を大幅に拡大する改正JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律) が2000年春からの施行を目指して大きく動き出しました。
改正にいたった社会的背景
 近頃の食品の消費形態は、ライフスタイルに応じた多様化が進み、特に、食品の品質に関して風味、鮮度、健康、安全性への関心が高まってきています。ことに、女性の社会進出、高齢者、単身世帯の増加などから、外食、中食の利用度も多く、食品表示の充実強化の必要性が増大しました。
 また、輸入された製品、原材料の増加や有機農産物、遺伝子組み換え食品など科学技術が導入された新分野の食品の生産、流通などに関して、より多くの正確な情報提供の必要性が強まりました。
 さらに、国際的には、世界貿易機関(WTO)の下で「貿易の技術的障害に関する協定 (TBT協定)」(1995年)が発効し、貿易の円滑化に向けて国際的に調和のとれた表示、規格制度の整備が重要となってきました。
JAS法改正のポイント
(1)食品表示の充実強化
すべての飲食料品が品質表示基準の対象
 現在の品質表示基準制度では、即席めん類、ハム類、ジャム類など64品目に原材料名、賞味期限、保存方法などの表示を義務付けていました。今回の改正では、一般消費者向けのすべての飲食料品が品質表示基準の対象となりました。
すべての生鮮食料品に原産地を表示
 現行では、64品目のうち、ブロッコリー、里芋、ニンニク、根しょうが、生しいたけ、ごぼう、アスパラガス、さやえんどう、玉ねぎの9品目の青果物にのみ義務付けられていた原産地表示が、すべての生鮮食品 (青果物、食肉、水産物)に拡大されました。HJAS法
飲食料品について横断的な表示基準の制定
 これまでは品目ごとに品質表示基準を作成していましたが、これでは新たに開発された食品の表示の適正化に的確に対応できない場合も考えられます。そこで、コーデックス規格(FAO/WHO合同食品規格委員会) で定められている「包装食品一般表示基準」 に準拠し、飲食料品について横断的に食品全体に通用する一般的な表示のルールとして、食品成分、国産原料の使用などについて、表示基準を定めました。
(2) 有機食品の検査認証・表示制度の創設
 有機食品については規格を制定(コーデックスに準拠)し、その生産または製造の方法について第三者認証機関が認定した生産者が生産したもののみ有機と表示できます。
(3) JAS規格制度の見直し
規格の定期的見直しの法定化、国際整合化
 5年ごとに既存の規格を見直すことを法定化し、不要となった規格の廃止などを積極的に進めるとともに、国際規格を考慮して規格制定を行います。
事業者自身による格付け表示の導入
 これまで登緑格付け機関が格付けし、JASマークを貼付していたのを製造業者等(品質管理体制などから、製品の品質の安定性や規格への適合性が確保されると認められる業者)が自ら格付けを行い、JASマークを貼付することができます。
登録格付け機関等への民間能力の活用
 公益法人等にのみ付与されていた格付け権限を民間会社等に開放し、民間能力の活用を図ります。今回の抜本改正では、対象を一気に全飲食料品に拡大したため、流通関係者等から、手間やコスト負担が大き過ぎて対応できるか疑問だといった戸惑いや反発の声も出ています。
国民生活センター「くらしの豆知識2000」より





inserted by FC2 system