遺伝子診断治療で医療はどう変わるか

医者2  病気の原因遺伝子の研究は、現在ハンチントン舞踏病などひとつの遺伝子異常から起こる単一遺伝子病から、高血圧や糖尿病、がんなど、よりポピュラーな病気の研究へと進んでいます。
 これらの病気は多因子病と呼ばれ、遺伝的な素因と食生活やライフスタイルなどの環境が、複雑に絡んで病気の発症につながります。将来的には、遺伝子診断によって、こうした遺伝的素因をあらかじめ診断し、その発症予防を行うことも可能と見られています。
 また、オーダーメード医療の実現も遺伝子診断の目的のひとつです。例えば、抗がん剤など薬の効き方や副作用にも個人差があり、これを遺伝子のタイプから診断し、それぞれの患者に、最適な治療を選択しようとするものです。

多様化する遺伝子治療

 一方、遺伝子治療は、これまでがんや単一遺伝子病を中心に行われてきましたが、残念ながら期待されたほどの効果は上げていません。最近では遺伝子の持つ働きに注目し、血管を作る遺伝子を注入して、心筋梗塞の患者に新しい血管を作ったり、逆に血管新生を阻害する遺伝子を注入して、がんの増殖を防ぐ研究などが行われています。こうした研究から従来とは全く働き方の違う、抗がん剤なども開発されています。遺伝子カプセル
 遺伝子治療は、遺伝子の異常を修復して、病気の予防や治療を行うことが目的と考えられていました。しかし、現状ではまず各種治療法のひとつとして、あるいはほかの治療法と組み合わせる形で、治療に応用されていくと見られます。




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