バイアグラとピルの解禁

生活改善薬

 「命にかかわるほどではないものの、日常生活を送るうえで気になる症状や体調を改める薬」、これを生活改善薬と呼んでいます。
 生活改善薬として大きく話題となっているのが、1999年3月からわが国でも販売が開始されたパイアグラ (クエン酸シルデナフィル)です。さらに、6月に承認されたのが、ピル(低用量経口避妊薬) です。

要処方箋薬

 パイアグラもピルも、医師の処方または医師の処方箋の交付によって薬局で購入できる「要処方箋薬」です。もちろん、保険の適応は認められていませんから、診察料と薬代を自費で賄う必要があります。
 保険診療に慣れているので、すべてが自己負担となったとき、思いがけず高額なのに驚く患者さんもいるようです。
Uバイアグラ 保険は適応しません
 そんな患者心理をついてか、あるいは、できればだれにも知られたくないという日本人の性に対する意識を反映してか、これらの薬の個人輸入を勧めるダイレタトメールや、インターネットのホームページなども話題を呼んでいます。
 しかし、パイアグラを個人輸入して使用した心臓疾患の患者の死亡例は、記憶に新しいところです。パイアグラは、個人の責任だけで使いこなせる薬ではありません。

パイアグラ

 最初は狭心症の薬として開発が進められたパイアグラですが、勃起持続という副作用が発見されました。そこで使用目的が変更され、現在の性不能治療薬として使用されるようになりました。ですから、今度は最初の目的であった心臓に対する副作用に注意が必要となってくるわけです。
 狭心症、心筋梗塞、胸痛のある方、特に狭心症等でニトログリセリンなどを使用している人は、使用を避けることが大切です。このほかにも、食事との関係や、飲み合わせ、視覚、目への副作用など、注意しなければならないことはたくさんあります。医師の管理の下、正しく使用してください。

ピル

 ピルとは、卵胞ホルモン(エストログン)と黄体ホルモン (プロゲステロン)を含む経口避妊薬の総称です。60年にアメリカで承認されてから、世界中で使用されるようになりました。その間、さまざまな副作用について研究が重ねられ、より安全なものへと変化してきました。Uピル
 特に、血栓など血液の凝固に関する副作用は、エストログンの量に関係することから、低く抑えられるようになりました。エストロゲンの含有量が50μg末満の薬剤を低用量ピルと呼んでいます。
 このように、ピルのエストログンの量は低く抑えられているため、抗生物質など、この薬の作用を弱める薬との併用は、避妊効果が減少するので、注意が必要です。
 副作用では、特に、喫煙を避けることが大切です。そのほか、子宮頚がん、乳がんの発症率の増加も気になります。
 ピルは、効果とデメリットを十分理解し、注意して使用することが大切です。



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