中高年・ゴルフ中の死亡者が多い

ちょっと待てそのパット!フォームだけでなくライフスタイルも正そう

 運動は健康増進に不可欠です。したがって、昨今、国民のスポーツに対する関心が大いに高まっているのも当然といえましょう。ここでは、東京都監察医務院が調査した、最近5ヵ年間の突然死のデータをみてみましょう。
 調査した5年間で、運動中の突然死が全国で624例にものぼっています。驚くべきことに、そのなかで、ランニング中の死亡例が26%と、全体の4分の1を占めております。ランニングは比較的安全な運動と考えられていましたが、このデータをみる限り、考えを改めなければなりません。つまり、運動の強弱にかかわらず、運動を始める場合には、事前の健康チェック、特に心臓チェックは必須の課題なのです。そして睡眠不足や過労状況をさけることが、併せて重要であるといえます。
 ランニングに次いで死亡の誘因となった運動種目は、ゴルフ13%、水泳12%で、この3種目で全体の半数を超える51%に達しています。この三つの種目は日常手軽にできる運動の代表的なものであることからも、重要な意味をもっています。その他の種目では、ゲートボール7%、登山6%、野球5%、体操4%、サッカー、スキー、テニス、その地合わせて27%となっています。
 以上のデータは9歳から79歳までの広い年齢層の集計ですが、これを中高年層の40歳から64歳の間で区切ってみますと、最も高い死亡率はゴルフです。56例あり、28%となり、第2位がランニングの38例、19%と、順位が逆転しています。
 それでは、ゴルフについてもう少し述べてみたいと思います。
 聖マリアンナ医大の吉原紳助教授による『スポーツ科学』の調査では、「関西地区の262ヵ所で、一年間に6人の死亡事故があり、全国規模でみると、年間70人のゴルファーが突然死している計算となる」と、恐ろしい推定をしておられます。
 これは、何もゴルフというスポーツが悪いのではなく、ゴルフをプレーする人々のライフスタイルに突然死を起こすような要因が潜んでいるとみられます。
 ゴルファーたちのライフスタイルとして考えられることは、仕事上の飲食接待が多く、栄養過多で肥満体の人が多い。ヘビースモーカーで、ストレスにさらされている。時間に追われる生活から車に乗ることが多く、あまり自分で歩くことがないなど、動脈硬化のリスクファクターを助長する日常生活が浮き彫りになってきます。
 日本女子プロゴルフ協会顧問医の小暮堅三医師も「ごく健康な人たちがゴルフ中に急にやられている。その原因というのが、寝不足、二日酔い、それに昼食時のアルコールだ。これに猛暑、極寒といった条件がプラスされれば、ゴルファーは簡単に倒れる」と警告しています。



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