ハートライン・システム

 心筋梗塞を起こした患者を救命できるかどうかは、時間との戦いです。心筋梗塞の発症から6時間以内に設備のある病院に到着し、閉塞している血管に対し、血栓溶療法を行うか、PTCA (冠状動脈形成術) にて血管を開通させれば、心筋梗塞を治すことができるのです。
 また、心筋梗塞発症後、1~2時間以内の死亡も多く、その主な原因は不整脈、特に心室細動です。この場合には、電気的除細動を行うことにより救命できます。したがって、心筋梗塞発症後少しでも早くCCU (冠状動脈疾患集中治療室) のある施設に収容することが大切です。
 自宅で、胸痛をおぼえた患者が、医師に電話しようか、救急車を呼ぼうかと迷い、もう少し様子をみようと考えていては、大切な時間を失ってしまいます。
 東京都CCU協議会の調査でも、急性心筋梗塞の発症から病院に収容するまでの時間で、最も時間を要しているのは、患者が救急車を呼ぼうと決断するまでの時間であると指摘しています。

「24時間、365日」あなたを守る

 「ハートライン・システム」は、この問題を解決するために生まれたものです。これは、胸部の不快感や不整脈のでている時の心電図を、タバコ箱大の発信器に記録し、ただちに電話回線を通じてドクターのところへ送るシステムです。
 発信器は、カルディオフオーンまたはテレハートナーと呼ばれており、電池で作動し約45秒~1分間の心電図を蓄積します。記録は、発信器の電極部分を両手で押さえるか胸にあて、記録ボタンを押すだけで、非常に簡単です。
 記録後、ただちに自宅の電話や公衆電話から発信器の発信ボタンを押してハートライン・センター(九段内科クリニック) へ心電図を送ります。送られてきた心電図をドクターがその場で判定し、現在の愚者の状態を把握した上で、すぐに救急車を呼ぶべきか、あまり心配しなくても良い状態であるかを判断して、必要な指示を与えてくれます。これが電話診療方式です。
 ハートライン・システムでは、24時間体制に対応するため、米国財団法人野口医学研究所の「ニュードクターホットライン」とのバックアップ提携を行っています。これにより、いつでも、どこからでも心電図を送ることができるようになっています。
 このシステムは、突然死を起こす不整脈の予知や胸痛の鑑別などに有効で、気軽に使用できる上、直接ドクターと話ができるので不安がすみやかに解消されることが長所の一つです。
①不整脈の発作に襲われる可能性のある人。
②ペースメーカーを移植した人。
③心筋梗塞や狭心症を有する人。
④無痛性心筋梗塞を有する人。
⑤心臓神経症があり不安でたまらない人。
 このような症状または可能性のある人々にぜひ利用していただきたいものです。



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