「フィラデルフィア公式」

ここをチェックー!危険因子をゼロにするには

 心臓病は習慣病と呼ばれているように、心臓病の予防は 「ライフスタイル (日常の生活習慣) をより好ましい方向へと変えていく」という一言に尽きるといってよいでしょう。
 狭心症や心筋梗塞の予防には、危険因子 (リスクファクター) を減らす努力をすれば良いことは頭ではわかりますが、実効があがるような方策はなかなか見つかりません。
 そこで登場してきたのが、「フィラデルフィア公式」 です。これは、アメリカのフィラデルフィアの二人の医師デペース博士とドウインスキー博士によって考案された、リスクファクターを「0」 にするための簡単な公式です。
 リスク・スコア=(0.1×LDL-0.2×HDL)+2 Xタバコの箱数+運動スコア+ストレス・スコア+0.05(収縮期血圧-130)
 リスク・スコアが0~4であれば、虚血性心疾患を発症する危険は少なく、5~10では、中等度の危険性、10以上であれば発症の危険性が高くなります。なお、LDLは、「悪玉コレステロール」のLDLコレステロール、HDLは、「善玉コレステロール」 のHDLコレステロールのことです。
 まず、運動スコアについてみてみましょう。スポーツマンタイプで、一週間に1500キロカロリー以上を消費する人は、スコア0、一週間に3~4度運動し、1000~1499キロカロリーを消費する人は1、一過間1~2度運動し、500~999キロカロリーを消費する人は2、運動せずに500キロカロリー以下を消費する人は3のスコアを与えます。
 次のストレス・スコアは、18の項目からなっており、該当する項目数を3で除した数値がストレス・スコアとなります。各項目を紹介しましょう。
①死、結婚、妊娠、定年、離婚などの大きな家族的変化。
②六ケ月以内の家族の健康上の間題。
③前項のため入院が必要であったか。
④家族の病気や両親、子供に対する責任者である。
⑤家族に薬物やアルコール依存症がいるか。
⑥賭け事で問題を起こしていないか。
⑦セックスで困難はないか。
⑧仕事中毒でないか。
⑨経済的不安はないか。
⑩最近、昇進・昇給した、あるいは宝くじに当たったようなことはないか。
⑪会社の状況悪化によりあなたの経済状態は影響を受けているか
⑫借金を負っているか。
⑬配偶者が失業しているか。
⑭職場や家族の人に敵対心があるか。
⑮何か追加的な教育を始めたか終えたところであるのか。
⑯最近、新しい家に引っ越したか、家のリフォームをしたか。
⑰月経前緊張症を経験するか。
⑱睡眠や食事の習慣に変化がみられるか。
 フィラデルフィア公式では、開始から6週間ごとにリスク・スコアを算定し、9ケ月後にはスコア「0」になるように、コレステロール、タバコ、運動、ストレス、血圧をコントロールするものです。これには、必然的にライフスタイルの変更を伴い、目に見える形で虚血性心疾患の予防ができるでしょう。



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