狭心症・心筋梗塞の症状と対策

致命率は35~50%

 厚生省の突然死調査研究班は、突然死は全死亡の10%に及び、中高年ではその原因として虚血性心疾患が多いと報告しています。ここで問題となっているのが、心臓性急死、特に急性心筋梗塞による死亡です。
 急性心筋梗塞の致命率は、35~50%と高く、その60%は発症後一時間以内に、しかも病院に到達する前に死亡しています。したがって、心筋梗塞がどんな状況下で発症するのか、またどんな予防策があるのかを十分に理解する必要があります。
 心筋梗塞の背景には心臓の栄養血管である 「冠動脈の動脈硬化」があります。冠動脈の内腔が動脈硬化により狭くなると、その末梢部への血流が低下して心筋の虚血(酸欠状態)が起こります。これが狭心症です。急ぎ足で歩くとき、階段を昇るとき、精神的に興奮したときに、胸の中央部が「圧迫されるような」または「焼けるような」不快感に襲われるのが狭心症です。その持続時間は多くの場合15分以内で、動作を中止したり興奮が静まると不快感も消失します。また発作にはニトログリセリンが有効です。
 ただし、狭心症発作で死亡することはほとんどありません。どんな運命をたどるかは狭心症が心筋梗塞に移行するか否かによるのです。

4人に1人は症状がない

 冒頭に述べたように、心筋梗塞は死亡率も高く狭心症から心筋梗塞への進展を防止しなければなりません。心筋梗塞は冠動脈の閉塞によって起こります。その瞬間には、動脈硬化で狭くなった部分に血栓(血液の塊)が形成され、血液の流れが遮断され心筋への血流が途絶えます。このとき、胸骨の裏側に激烈な痛みを感じ、顔面は蒼白となり冷汗を伴い、死の恐怖感に襲われます。
 ニトログリセリンの効果はなく、胸痛は30分以上にわたって続き、「心停止」 へと進展することも少なくありません。急性心筋梗塞を疑うときには、救急車で一刻も早く専門病院へ行くことが救命への近道です。
 心筋梗塞が狭心症から進展するのが一般的ですが、病変がありながら症状のない「軽症候性心筋虚血」から突然心筋梗塞になるケースが急性心筋梗塞の4人に1人の割合で起こつています。心臓ドックなどでその危険を事前に発見し、対処することが大切です。
 心筋梗塞の予防は、狭心症の進展予防です。日頃からのリスクファクターの治療は当然ですが、精神的緊張による血圧上昇や夜間から早朝にかけての冠動脈のスパスム(彎縮)の予防、血液の粘ちょう度を下げ血栓形成を予防するため、十分な水分の補給や抗血小板剤の使用などが基本的な予防法です。日常で経験する狭心症に対しては、ニトログリセリンを予防的に舌下することが心筋梗塞を防ぐ上でも有効です。





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