生活習慣病にならないために

 成人病が加齢とともにかかる致し方のない病気だという見方をもたらしがちだったことが反省され、代表的な成人病であった高血圧、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病・NIDDM)、高脂血症、高尿酸血症、肥満、肺がんなどが「生活習慣病」とされました。これらは、遺伝的な背景もさることながら若い世代からの生活習慣が、その発症に深くかかわっている点が重視されます。
生活習慣病 生活習慣病が死亡に直結する形をとるのは、脳卒中や心臓病(心筋梗塞など)という動脈硬化性疾患と、肺がんに代表される悪性腫瘍による場合です。前二者が原因での死亡者は、合わせて全体の3割に達します。そして後者も同じく3割を占めているというのが、わが国の実態です。

◆大事な一次予防

 高齢化社会が、より充実したものであるためには、文字通り「元気で長生き」が欠かせません。そのためには、まずは生活習慣病にかからないための一次予防が重要です。悪性腫瘍に関しては禁煙と偏食をなくすことが古くから強調されています。一方、動脈硬化については太り過ぎないことを筆頭に、禁煙、少酒、腹七~八分目でバランス食、歩行を中心に運動をする、ストレスをためない、休養を十分にとる、などがいわれています。
 このような常識を踏まえて、生活習慣病にならないために欠かせないのが、次の三つのチェックです。

◆BMI25以上は要注意

 高血圧、2型糖尿病など生活習慣病の源流にある身体所見は、肥満です。肥満の判定は国際的にも広く用いられている体格指数 (BodyMasslndex.BMI)によります。BMIは、体重kg÷身長m÷身長mで求められ、18.5~25未満が正常範囲です(WHO1987年)。日本人の場合、最も病気にかかりにくいBMIは22で、25以上は肥満と判定されます。例えば2型糖尿病の場合、25以上を示すものの割合は発症前の状態も含めると八割以上にもなり、BMI25以上が要注意であることがうかがわれます。
空腹時血糖値

◆空腹時血糖値126mg/dl以上は糖尿病

 老人保健法による基本健康診査では、96年から、そして99年からは労働安全衛生法による職場などでの健康診断に際しても、血糖検査が必須項目となつています。血糖検査は糖尿病診断に欠かせない検査で、空腹時血糖値がよい目安になります。
 正常値は110mg/dl以下で、126mg/dl以上は糖尿病と診断されます。二つの数値の中間は空腹血糖障害と判定され、糖尿病の予備軍と目されます。本格的な糖尿病の怖さは失明、腎不全(尿毒症)、下肢壊疽などですが、軽いからといってあなどれません。軽症な糖尿病とともに肥満、高血圧、血液脂質異常があると動脈硬化が進みやすく、脳卒中や心臓病の原因となります。

◆善玉コレステロール(HDLコレステロールは40mg/dl以上に)

 血糖検査とともにHDLコレステロールの測定も健康診断の必須項目になっています。総コレステロールや中性脂肪値のいかんにかかわらず、HDLコレステロール40mg/dl未満は動脈硬化を促進する危険因子です。禁煙と少酒を守り、運動を積極的に行うことでHDLコレステロール40mg/dl以
上を目指しましょう。
国民生活センター 『くらしの豆知識2000』より





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