疲れやすい・食欲不振時の食事療法

疲れやすいとき
 疲れは、だれでも多かれ少なかれ感じるものですが、病気が原因でない場合には、精神的疲労と肉体的疲労の二つが重なって現れることが多いものです。これは、過労が蓄積したり、精神的・肉体的作業を続けることにより、体内でエネルギー源となるグリコーゲンが減少し、エネルギー不足を引き起こすからです。
食事療法のポイント
 疲れが現れる原因となる病気がない場合は、休養をとりながら疲れがとれやすい食事をとると良いでしょう。もちろん、原因がある場合は、その病気の治療をすることが第一に必要となります。
1 糖質からエネルギーを補う
 疲労をとるにはまず、エネルギーを補給することが必要ですが、特に糖質からとることがおすすめです。どのような糖質も体内に入るとブドウ糖になり、このブドウ糖が脳や神経系のエネルギー源になります。つまり、精神的疲労を回復させるのに役に立つのです。一方、脂肪も分解して筋肉のエネルギー源になることができるのですが、筋肉にたまった疲労物質をとり除くには糖質が必要となるので、結局、糖質は肉体疲労にも効果的ということになります。
2 良質のタンパク質食品をとる
 タンパク質の必要量は、肉体労働によって筋肉を使った場合に増大することはもちろんですが、精神的にストレスがかかったときにも増大します。ストレスがかかると、これに対抗するためにいくつかのホルモンが出て、そのストレスを乗り切ろうとするのです。このとき、そのホルモンにより体のタンパク質の分解が亢進します。精神的にも肉体的にも疲れやすい人はタンパク質を多めにとるようにすると良いでしょう。
3 ビタミンB1・B2・C、カルシウム、鉄などを十分にとる
 これらの栄養素はいずれも疲労と関係のあるものです。日頃から「疲れた」を連発している人が、栄養剤を飲むとなんとなく治ってしまうというのは、このような栄養素が不足している疑いがあります。栄養剤やドリンク剤を飲むのも一つの解決方法なのですが、もっと根本的な方法は、日頃の食事に気をつけ、これらの栄養素が不足しないように心がけることです。
4 運動と休息のバランスをうまくとる
 疲労感は運動が過度でも不足していても感じられます。日常生活で肉体労働が多い場合は、ゴロゴロとのんびりするというような休息をとり、精神労働が多い場合は、スポーツなどで体を動かすようにしましょう。
 いずれも規則正しい生活をし、睡眠を十分にとることが重要です。
☆料理のアドバイス
 体を使いすぎた時や精神的なストレスを感じた時は。肉・魚・卵・豆腐・牛乳などのタンパク質が不足しないように心がけましょう。また、ビタミン類が豊富に含まれるレバーや緑黄色野菜などを積極的にとるようにしましょう。油は高エネルギーの炒め物、炒め煮、サラダ、揚げ物などで上手にとります。また、疲れやすい時には食欲がないことが多いので、香辛料や酢などを使い食欲をアップさせるような気配りをすることも大切です。

食欲不振のとき
 特に病気が原因でなくても、運動不足や不安感などからストレスがたまったとき、胃腸の調子が悪いときなどでも食欲が低下します。また、これからの季節は夏バテからくる食欲不振にも十分な注意をしましょう。
食事療法のポイント
 ストレス、食事のアンバランス、不規則な生活などによる食欲不振は、まずそれを改めなければいけません。また、原因となる病気がある場合は、病気の治療を優先しましょう。
1 一口でも食べる
 とにかく一口でも、食べられるものを口に入れることが大切です。食欲がないからといって、いつまでも食べないでいると、いつまでたっても食欲は出てきません。食べないでいるうちに体脂肪の分解がすすんで、かえって食欲を抑えてしまうのです。少しでも食べると、これが呼び水となり、食欲が出ることもよくあります。
2 ストレスをとり除く
 帰宅したら、まずゆっくりと入浴をしてみたらいかがでしょうか。ゆったりとした気持ちでくつろぎ、家族と雑談したりして気分を切り換えると、自然と食欲も出てくるでしょう。ストレスがたまっていると、なかなか食欲も出てこないものです。
3 食前に適度にアルコールを飲む
 アルコール類は、胃液の分泌を克進し、食欲を増進してくれます。もちろん、飲みすぎるとかえって逆効果になってしまいますので、適度を心がけて下さい。食前のシャンパン、ビール、ワイン、梅酒などはほどほどに飲むとよい効果が期待できるアルコールです。
4 食欲をそそる演出をする
 料理の味つけは少し濃いめにします。さらに、酢や柑橘類などの酸味、香辛料や香りの強い野菜などを上手に利用して、おいしい料理を作るように心がけて下さい。
 また、食欲は料理の味だけでなく、料理の盛りつけ、気のきいた食器、テーブルクロス、食卓に飾る花、BGM、そして楽しい会話など、色や香り、音などにも影響されるものです。食欲が出てくるような演出にも気を配りたいものです。
☆料理のアドバイス
 好みの食べ物を、食べられる量から始めます。油っこくても好きなものなら食べられるものですが、一般的には、口あたりがよくてあっさりとした食品や料理がよいでしょう。揚げ物は酢と組み合わせると食べやすい料理になります。食欲増進剤となる食前酒や香辛料、香味野菜、酢や酸味を上手に利用しとり入れましょう。味つけはバラエティをつけ、少し濃いめにします。おいしそうに盛りつけをするなどという演出も、食欲を増進させる大切なポイントの一つです。
食欲増進効果のある野菜・くだもの
▲セロリ▼
 西欧では、古代から薬草として用いられてきただけあって、セロリにはさまざまな薬効があります。
 まず、芳香健胃食品としての効用があげられます。セロリはごはんやパンなどの炭水化物の消化を促進し、食欲を増進する働きをもっています。食欲不振のときは、セロリのジュースを作って飲んでみましょう。また、セロリをホワイトリカーと氷砂糖に漬けて作るセロリ酒は、食欲増進のほか、疲労回復や不眠症にもよく効きます。セロリのミネラルが血行をよくするので、疲労回復や解毒強壮にはもってこいです。是非、こちらの方もお試し下さい。
☆ジューサーでしぼって、レモンとハチミツを加えて飲みます。セロリだけでは飲みにくいので、にんじん、りんごなどを加えて、ジューサーにかけてもよいでしょう。
▲ぴわ▼
 びわの葉の表面の毛をよく落としてから、陰干しにしたものを手でもんで細かくします。こうしてびわ茶を作り、これをお茶がわりに毎日飲めば、疲労回復、かぜの予防、利尿、食欲増進などによく効くといわれます。また、暑気あたりには、びわ茶を冷やしたものにハチミツを加えて飲みましょう。葉を煎じた汁をお茶がわりに飲むというのも、暑気ばらいや夏バテ対策には有効な方法です。
▲その他▼
とうがらし
食欲不振のときには、とうがらしとレモンをホワイトリカーに漬けた、とうがらし酒を食前酒として飲むと食欲が増進します。
きゅうり

ぬか漬けやみそ漬けは、食欲を増進させ、胃腸の調子を整える働きがあります。特にぬか漬けは暑気あたりの解消にも効果的。
トマト
夏場、体がバテて食欲が不振のときは、まずトマトジュースを1本どうぞ。さわやかな酸味が胃をスッキリさせ、食欲を増してくれます。
ぶどう
食事前に軽くぶどう酒を飲むと食欲増進につながり、また、肉類の消化を助ける働きもしてくれます。
パイナップル
酸味のある食品は、食欲増進の効果を持つものが多いのですが、パイナップルに含まれているクエン酸にもその働きがあります。夏バテで食欲不振のときなど、パイナップルを食べると食欲が出てくるでしょう。





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