上手に使おうミネラルウォータ-

ミネラルウォーターってどんな水?
 ミネラルウォーターとは、いったいどのような水をさすのでしょうか。「ミネラルウォーターとは天然水のことである」とか「水道水よりも多くのミネラルを含んだ水」といったあいまいな認識しかない方も多いのではないでしょうか。
 ちなみに、ミネラルウォーターは日本では四種に分類されています (下段参照)。
① ナチュラルウォーター
特定(一箇所) の水源から採水。沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の処置をしないもの。
② ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち、ミネラル分が溶け込んだ地下水を詰めたもの。
③ ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水として、ミネラル分平均値の10~20%を限度として調整したもの。
④ ボトルドウォーター
ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーター・ミネラルウォーターに該当しない水。地下水、表層水を問わず、飲用できる水をびん詰めにしたもの。
 つまり、現在の分類方式ではミネラル分の量の規定がないので、ミネラル分の多少にかかわらず、ミネラルウォーターと呼ばれることになっているのです。
ミネラルウォーターの選び方
 ミネラルウォーターを買う理由はさまぎまかと思いますが、「トリハロメタンが入っていない」「ミネラル分を多く含んでいる」 の二点をあげられる方は多いでしょう。
 トリハロメタンは水の中の有機物と消毒用の塩素が反応してできる化学物質で、現在の水道水には微量とはいえ、必ずといってよいほど入っています。このトリハロメタンは大量に摂取すると、発ガンのおそれがあります。ただし日本の水道法では、トリハロメタンの量は0.1PPm以下(1リットル中に0.1mg以下)でないといけないと定められており、仮にこのような水を毎日2リットルずつ70年間にわたって飲み続けたとしても、トリハロメタンによる発ガン率は十万人に一人か二人、といった率にしかすぎません。この数字を高いと思われる方にとっては、あるいはミネラルウォーターは「安全な水」といえるかもしれません。
 ミネラルは、ビタミンとともに体の調子を整えるサポート役です。ミネラルにはカルシウム・カリウム・マグネシウムなどの種類があり、それぞれ 「骨の健康」や「心臓機能・筋肉機能の調節」「酵素を活性化する」といった働きを持っています。これらのミネラル分は多ければ多いほど良いといったイメージがありますが、大切なのは量よりバランスです。ナトリウムは摂取しすぎると高血圧を招きますし、骨租しょう症の予防に重要なカルシウムはマグネシウムの吸収を阻害するので、カルシウムを摂取したい場合にはそれに見合ったマグネシウムの摂取が必要となります。
 ミネラル分の摂取を考えてミネラルウォーターを選ぶ場合、最も参考となるのは水の「硬度」です。一般的に硬度が高い水ほどミネラル分(特にカルシウムとマグネシウム) を多く含んでいます。硬度の低い水は飲んだときに清涼感がありますが、ミネラル分の摂取については期待できません。これに対し、硬度の高い水は、味の面ではともかく、ミネラル分の摂取については期待できます。
 よって、水からミネラル分を摂取しょうとするならば、硬度が200以上のミネラルウォーターを選ぶことをお勧めします。ただし、外国で採水されたミネラルウォーターの中には、硬度が200程度であっても、ナトリウムを1リットルに500mgも含むものもありますので、選ぶ際にはラベルの成分表示をきちんと確認することが大切です。
ミネラルウォーターはこう使う
ミネラルウォーターはこう使う お茶や料理の水のすべてにミネラルウォーターを使用するのは、はたしてふさわしいことなのでしょうか。
 ミネラルウォーターを愛用されている方がどのような使い方をされているのかは分かりませんが、お茶や料理にはそれぞれちょうど良い水の硬度があることを知っておくべきでしょう。硬度の高いヨーロッパの水でも加熱すると硬度は半分程度にまで減少してしまいますし、日本の硬度の低い水がすべてのお茶や料理に適しているわけでもないのです。
 たとえば炊飯は硬度の低い水でするのが基本です。硬度の低い水で米を炊くと、米の細胞がきれいな網目構造になり、ふっくらとした粘りのあるご飯となります。逆に硬度の高い水で炊くと、パサパサのご飯となってしまいます。また豆も、硬度の高い水で煮るとあまりやわらかくはなりません。硬度の低い水で煮てはじめて、豆は水を含んでふっくらとやわらかく仕上がります。一方、肉の煮込みについては硬度の高い水の方が適しています。これは硬度の高い水で煮込む方が、硬度の低い水で煮込むより、より多くのあくを取ることができるためです。
 お茶についても、水の硬度の高低は「合う・合わない」があります。緑茶は水の味の影響を受けやすいので、硬度の低い水で作るのが適しています。これは緑茶が紅茶やウーロン茶と違って茶葉を発酵させていないためです。したがって、緑茶にヨーロッパのミネラルウォーターを用いる場合は、北欧の硬度の低いミネラルウォーターしか合いません。
 紅茶は種類によって分かれますが、香りが重要なダージリンは硬度の低い水、茶葉の細かいセイロンは硬度が一〇〇程度の水、濃厚な味わいのアッサムは硬度が三〇〇程度の水がちょうど良いようです。
 ちなみにコーヒーは、どちらかというと水の硬度や味にはあまり影響を受けません。
ミネラルウォーターの保存法
 ミネラルウォーターの保存については、細心の注意が必要です。
ミネラルウォーターの保存法 ミネラルウォーターは、できれば室内の温度変化の少ない場所に保存してください。光(室内の電灯の光を含む)が当たると、水の中に植物の胞子が混入していた場合、その胞子が発芽するおそれもありますので、箱の中や黒いポリ袋に入れておくといっそう安心です。なお、ミネラルウォーターにも賞味期限があることを忘れないようにしてください。
 またいったん開封したら、必ず冷蔵庫に保存してください。たとえ殺菌されたミネラルウォーターでも、開封した後では空気中の雑菌に汚染される可能性があるからです。冷蔵庫に保存しておけばだいたい二週間程度の保存が可能ですが、なるべく一過間ぐらいの間に使い切ってしまうことが理想です。
 以上のことを参考に、ミネラルウォーターを上手に利用してください。
 ラッパ飲みの飲み残しは、衛生面からお勧めできません。





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