住まいを見直そう
「シックハウス症候群」は、「病んだ家(シックハウス)」の中で、化学物質などにより、目やのどの痛み、頭痛などが起こる病気です。
症状を抑えるには、周囲の化学物質を除去することが大切です。
建材や住環境が原因
建材などに含まれた化学物質などが、室内に放散、充満し、そこに住んでいる人に体の不調を引き起こすことがあります。これを「シックハウス症候群」といいます。
●症 状
目がチカチカしたり、のどがヒリヒリしたりするなどの、「粘膜刺激症状」です。また、「唇など粘膜の乾燥」「じんましん、湿疹などの皮膚症状」「倦怠感」「頭痛」、呼吸をするときに、ゼイゼイする「喘鳴」などがあります。「めまい、吐き気、嘔吐」が起こることもあります。
これらの症状は、アレルギーとよく似ていますが、シックハウス症候群と、アレルギーは、医学的には別のものと考えられています。
●原因物質
シックハウス症候群の原因物質は、たくさんあります。(P3表 参照)
なかでも最も大きな原因となつているのは、合板や壁紙の接着剤に含まれる「ホルムアルデヒド」や、有機溶剤として用いられている「トルエン、キシレン」などです。現代の住宅には、多かれ少なかれ、これらの物質が使われています。そのため、誰もがシックハウス症候群になる可能性があるのです。
シックハウス症候群の原因と症状
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原因物質 |
主な用途や発生原因 |
症 状 |
建
築
材
の
要
因 |
ホルムアルデヒド |
合板や璧紙の接着剤として |
目がチカチカする、のどが
ヒリヒリしたリゼイゼイいう、
唇が乾く、皮膚症状、
頭痛、倦怠感、吐き気など |
トル工ン、キシレン |
接着剤や塗料の溶剤として |
アスペスト |
断熱材として
(注:現在は使用禁止) |
肺癌の危険因子など |
環
境
の
要
因
|
オゾン、窒素酸化物 |
事務機器から |
粘膜刺激、皮膚症状など |
浮遊細菌、カビ |
家屋内での繁殖 |
アレルギー、肺炎など |
断 熱 材 |
カーテンなど |
家 具 |
断熱材や璧面の吹きつけ剤として利用されたアスベストは、現在では使用禁止になっているが、15年以上前に建てられた建物には使用されている可能性がある。 |
ほとんどの繊雑製品には加工剤としてホルムアルデヒドが使われている。
また、カーテンには、防炎剤、難炎剤、防カピ剤などが使用されていることが多い。 |
布張りのソファーなどには、加工剤としてホルムアルデヒドが使われているほか、防カビ剤、防ダニ剤などが使われている場合が多い。 また、家具の表面の塗料にトルエン、キシレンなどが使わわていることも。 |
璧 紙 |
床 材 |
床 下 |
壁紙の接着剤には、多くの場合ホルムアルデヒドが含まれているほか、壁面のコーティング剤や塗料にも、ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質が使われている。 |
フローリングの原材料に使われる接着剤に、ホルムアルデヒドが含まれている。また、カーペットなども、化学物質によって防炎加工してあるものが多い。 |
白アリの被害を防ぐために、白アリ駆除剤がまかれることが多い。また、白アリを防ぐために、あらかじめ駆除剤を染み込ませた木村が使用されていることもある。 |
改善!室内温度と換気
身の回りの環境をよく考え、換気などで原因物質を減らしましょう。
●日常生活で注意すること
シックハウス症候群の予防や治療には、原因物質の除去が大切です。しかし、現代の住環境から、原因となる化学物質を完全に取り除くことは難しいのが現状です。そのため、日常生活での注意により、原因物質をできるだけ少なくすることが大切です。
例えば、ホルムアルデヒドのような揮発性の高い物質は、温度が高くなると空気中への放散量が多くなり、空気中の濃度が高くなります。その上、締め切って換気が悪いと、ますます室内の濃度は高まります (右グラフ参照)。
そこで、室内の温度と換気に、十分注意する必要があります。気温の高い夏はもちろん、暖房で暖かくなつている冬も、できるだけ換気を行って、室内の空気汚染物質の濃度を下げるようにしてください。
新しい家は、建材から出る化学物質の影響が特に大きいので、築後すぐに住むのは避けた方が無難です。少なくとも2週間から数ケ月、窓をよく開け、空気汚染物質を追い出してから入居するとよいでしょう。一方、家を新築・改築するときや、改装などの際は、良質の建材・施工材を選ぶことも大切です。建材・施工材のホルムアルデヒドなどの放散量について、各種規格が設けられています。これを参考に、設計者や施工者などとよく相談しながら、良質のものを選びましょう。建て売りやマンションを購入するときにも、建材などを確認しておきたいものです。
また、家具に合板や揮発性の塗料が使われていることもあります。家具を購入しても、すぐに使用せず、しばらく扉や引き出しを開けて、内部までよく風を通しておきましょう。