大気汚染・水質汚染と健康被害

大気汚染

 山や海へいくと、空気がおいしく、星がたくさん見えたりします。これは、都市の空気が汚されている証拠です。つまり、大気汚染です。都市の空気には、さまざまな汚染物質がふくまれています。空気中の汚染物質(浮遊粒子状物質・窒素酸化物・二酸化硫黄・一酸化炭素・光化学オキシダント)などを大気汚染物質といい、工場、自動車、ビルなどから吐きだされます。大気汚染物質は、ふつう日照による上昇気流や風などによって、薄められたり、化学変化をおこしてだんだん大気から消えていきます。しかしながら風がなく曇りの日が続くと、自浄作用が働かない為大気汚染物質が大気中にたまることがあります。このようなとき、大気汚染による健康被害が発生するといってよいでしょう。
 三重県四日市市につくられた、大規模な石油コンビナートが1959年頃から稼働した。ここから排出された二酸化硫黄などの大気汚染物質によって1960年以降周辺の住民のあいだで、慢性気管支炎・気管支喘息などの患者や死亡者がふえた。数年間続いた健康被害を四日市ぜんそくとよばれた。

水質汚染

 大気汚染は、おもに、呼吸器系に健康被害をもたらします。二酸化硫黄は、水に溶けやすく、上部気道や気管支の粘膜に溶けて刺激し、気管支ぜんそく、慢性気管支炎などをおこします。二酸化窒素は、二酸化硫黄に比べて水に溶けにくく、肺の奥まで届き肺胞を直接刺激するので肺気腫などをおこします。光化学オキシダントには、オゾンなどがふくまれ、目を刺激したり、手足のしびれや、呼吸困難などをひきおこします。
 一酸化炭素は、血液中にはいって、ヘモグロビンとむすびつき酸素の運搬能力を妨げるので、細胞の酸素不足をもたらします。浮遊粒子物質は、細気管支や肺胞までとどいて沈着し、肺癌をひきおこす危険性があります。このように、大気汚染は、人間にとってさまざまな健康被害をもたらすことになるのです。
 生命を維持するためになくてはならないものとして、大変重要な役割をしているのが水です。私たちは、河川、湖、海水をさまざまに利用しています。
 飲料水や河川、湖、海水などの水域が人間の生活や活動によって汚染されることを水質汚濁といいます。現代の水質汚濁による健康被害は、昔のようなふん便からの病原体によるものは少なく、工業活動による各種有害物質によるものです。都市の生活排水に含まれる有機物や、しょう酸塩、りん酸塩などの栄養塩類が海や川、潮を汚染します。工業排水中の有害物質が河川や海に流れて河底や海底のこけなどに吸収されたまり、そのこけを食べている魚は、濃縮された有害物質が体内にたまっています。さらにその魚を人間が食べ濃縮された有害物質を人体内に蓄積する。水俣病は、こうしておきたのです。1953年九州の水俣湾を中心とする沿岸の住民に奇病が発生流行した。症状は、手足のしびれ、視野狭窄、聴力、歩行能力の障害、重くなるとけいれんをおこしたり、ついには死にいたる者も少なくなかった。病人の発生は、近海でとれた魚を大量に食べた漁師の世帯にもっとも多く発生しているのでその魚に原因があると推測され、地元の魚を食べることを禁止された。その結果新しい患者の発生がいちじるしく減少したので魚が原因であることが確実となりました。




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