増えてきた結核の予防と対策

◆世界の結核
 結核は遠い過去の病気であるような気がしていますが、一九九五年の全世界の結核患者発生数は約八八〇万人、死亡者数は年間約三〇〇万人と推定されており、残念ながら世界的に増加傾向にあります。
◆日本でも結核はわずかながらも増加傾向
 わが国における結核は、五〇年までは死因の第一位でしたが、九八年は二二位で、一見過去の病気になったように見えます。新しい結核患者の数も減少を続けていましたが、九七年、九八年と二年連続でそれぞれ〇・二%、〇・四%とわずかですが、増加傾向に転じました。学校や医療機関などでの結核の集団感染事例も増えてきています。九八年に新たに登録された結核患者数は、約四万四〇〇〇人、死亡者数は約二八〇〇人です。
◆結核緊急事態宣言
結核の予防と対策 九九年七月、厚生省は結核緊急事態宣言を発表し、結核問題の再認識、結核対策の強化に取り組むことを提言しました。決して今、急に結核が広く流行し始めたわけでも、結核患者数が急増したわけでもありません。しかし、少しずつ増え始めてきた今のうちに一般の人びと、医療関係者、行政関係者などすべてに対して、注意を呼び掛けていこうとい、つことだと考えられます。
 さらに、結核の正しい診断と治療、そして予防の実行に取り組む必要があります。だれもが、結核という感染症が遠い過去の病気ではなく、常に注意を払わなくてはいけない感染症として考えておくことが、最大の予防と対策です。







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