快便のためのお話・ウンコは健康のバロメータ!!

回数、形、量、色、におい、あなたのウンコは?
●流す前によく見よう
 ウンコ、終わると同時に流していませんか。生活や食事のパターン、ストレス状態などなど、便通はある意味では、その人の生活のすべてを語っていると言えます。流す前によく見よ!
 私たちは、ウンコが語る私たち自身の生活に、そして貴重な「体内情報」を素早くキャッチして、健康のバロメーターにしたいものです。
●1日の便量は普通、150~200g 「テニスボールより一回り大きい」
 「普通」と言っても、個人差の大きい量のことではありますが、平均的に見て150~200gと言われます。なお一般に、日本人は欧米人に比べ多めといわれます。ちなみに便秘の人の量は1日35g程度、これはピンポン玉よりやや大きいくらいの量です。

回数と量について
 便通の回数と量には個人差が大きい。便通は毎日あることが望ましいが、1日おきでも、そのペースで長いこと過ごしており、日常生活に支障がなければ、それは「便秘」ではない。同様に1日に何回も出るから「下痢」というわけではない。一応の定義を記しておく。
○便秘 通便が1週間に男なら4回以下、女なら2回以下の場合。あるいは便重が1日に35g以下の場合
○下痢 便が水状で、1日の便量が200ml(牛乳びん1本程度)以上の場合
○普通 便秘でもなく下痢でもない場合。便量は通常150~200gとされる

形状について
 便の形状は、中に含まれる水分の割合によって決定される。最も望ましい水分の割合は70~80%未満であり、そのとき同時に十分な便量と、しっかりした腸の押し出し運動があれば、便は湯気を立てる“とぐろ巻き’’となるはずである。なお、水分が80%以上の便は「泥状」となって“抵抗感’’を失い、90%を越えると「水様便」となって“噴出感”のみを残すことになる。念のため、それぞれの形状の便を図に起こす。我が物と見比べられたい。ほかに、胃などからの出血を示すトロリとした黒色の「タール便」、慢性腸疾患などの存在を示す「粘液便」などがあるが、それらを認めた場合には、すぐに医療機関〈消化器内科)へ足を運ぷべきである。
水分⇔~70%未満 70~80%未満 80~90%未満 90%~⇒
水分⇔~70%未満   70~80%未満   80~90%未満    90%~⇒

色について
 便の色は、便の「大腸通過時間」によって決まってくる。通過時間が短ければ黄色に傾き、長くなるほど茶色やこげ茶、黒に傾く。時に緑色になることがあるのは、胆汁酸の回収がうまく行かなかったか、腸内が細菌感染している(その場合は発熱を伴う)ことを示す。
 鮮やかな赤や暗赤色の便、そして黒色の「タール便」などは、内臓からの出血の印で、明らかな危険信号だが、「便潜血」と言い、出血していても少量のため色にはでないこともあるので、ご注意。

●理想のウンコは 『巻き巻きウンチ』
 理想のウンコとは、とぐろを巻いた湯気の立っているもの。あのとぐろが、適度な固さ、粘度、量などを象徴しています。
 あなたのウンコは、毎日とぐろを巻いていますか。
快便のためのお話①
ふだんから便秘対策を
●便秘の鍾類
 便秘には大別して「器質性の便秘」と「機能性の便秘」の2種類があります。器質性便秘とは、腸が狭いとか、癒着してふさがってしまっているなどの物理的な障害があるために起きるものです。それに対して腸などの働きがうまく行かないために起きるのが機能性便秘です。
 その機能性の便秘にも、「直腸型」「弛緩性」「けいれん性」の3種類がありますが、中でも問題なのが最初の「直腸型」と呼ばれているものです。
便秘傾向の人への快便術
ともかく何かお腹に入れて 起きがけの1杯の水
ともかく何かお腹に入れて 起きがけの1杯の水
●「ウンコをしたくなる」機能がうまく働かない直腸型便秘
 「直腸型便秘」とは、体と頭が「ウンコをしたい」と察知し、トイレに向かわせる機能がうまく働かなくなるために起きる便秘です。
 人が「ウンコをしたくなる」のは、実は、体の中で、次のような段取りが進んでいくためであり、すなわち、ご飯を食べる→胃にご飯が入り「胃腸反射」を起こして腸の働きを活発にする→腸の運動で便が直腸方向に移動する→便が直腸に入る→直腸が便で押し広げられて、「仙髄反射(排便反射)」を引き起こす→仙髄反射は脳に便意を引き起こし、一方で直腸を収縮させる→軽くいきむと括約筋が開いて便が出る。
 ところが、人は大人になると排便反射を抑えたり、便意を無視することを覚えます。まして現代社会は、したいときにすることを許してくれないことが多いからです。しかし長年、以上のような段取りを無視し続けるとどうなるでしょう。やがて便意を感じにくくなり、直腸も収縮しにくくなり、直腸型便秘持ちが増えるのです。
●現代は便秘解消には【悪条件】だらけ
 直腸型の便秘は、生活が夜更かし型になり、長時間の通勤、通学が普通になつている現代では、朝の便意を無視しがちになり、増えこそすれ減ることはなさそうです。
 「弛緩性便秘」は、腸の緊張が低下し、大腸の通過時間が長くなり、便からの水分吸収が進行し、固いウンコになって出にくくなるものですが、腸の緊張を高めるものは、第一にたくさんの便なのです。現代の食べ物は昔に比べ精製度が高くなっているため、便になる量も少なめになっています。
 「けいれん性便秘」は、弛緩性とは逆に、ストレスなどで腸が過剰に収縮、便が腸のくびれごとにちぎれ、やぎや兎の糞状になるものです。ますますストレス傾向の現代では、こちらも簡単には減りそうもありません。
●便秘対策の基本
 機能性の便秘が起きるおおよその原因は分かっているわけですから、それをとり除けばよさそうなものですが、いずれも個人の努力だけではなかなか難しいことばかりです。現代社会が理想のウンコにとって悪条件が揃いすぎているのです。だからといってあきらめるわけには行きませんね。個人でできる便秘対策を上げてみましょう。
 まず大事なことは、「排便反射を無視しない」こと。排便反射が弱い人は、朝起きたら1杯の水を飲んで腸を刺激し、朝食後は便意がなくてもトイレに座る習慣をつけましょう。水は1日に大きなグラスで8杯以上は飲むこと、また、規則正しい食事をするとともに、その内容に気をつけ、適度な運動も必要不可欠です。
 排便反射を阻害したり、けいれん症の便秘を引き起こすストレスを少なくするために、精神的に余裕を持つようにしましょう。気にしすぎないというのも逆に必要なことです。
 効果があるのは、早くても一~二ケ月先になります。地道にかつ気長に取り組んでいかなくてはなりません。

下剤の常習に注意!下剤の常習に注意!
 下剤を飲めば、確かに便は出る。しかし、特に直腸などの粘膜を刺激することで便を出させる「刺激性」作用のある薬に頼っていると、腸が怠けて自力で収縮する力がなくなり、弛緩性便秘などはかえって悪化してしまう恐れがあります。いろいろな快便術を見て、どうしても駄目というときに、補助的に暖下剤を使うという使い方にとどめるべきだ。
便秘だからといって「いつも食物繊維」とは限らない食事療法
 日本人は比較的よく野菜をとっています。したがって、便秘だからといって繊維を多く取ればよいというものではないですね。
 「けいれん性の便秘」の時には、 繊維の少ない残渣の少ないものを というのが基本です。生野菜、たけのこ、ごぼう、れんこんなどは避け、大根、ニンジン、かぶなど、煮て軟らかくなるものを食べて下さい。そのほか、牛乳、白身魚、脂肪の少ない肉などが適しています。
 「弛緩性の便秘」に対しては、腸を刺激する意味で繊維の多いもの、量を増やすものを食べる必要があります。油もやや多めに取ったほうがよいでしょう。料理としては特定のものでなく栄養バランスの整ったものということになりますが、時にはチャーハンや炊き込みご飯やそば、それにけんちん汁などのように具がたくさん入った汁物、おからなどの大豆製品も勧められます。ただ、あまり極端にやっては行けません。
 「習慣性(直腸型) 便秘」の場合は、起きがけの冷水や牛乳などで″朝ですよ″と腸を刺激するのが効果的。そして朝食をとるようにします。水分をとることも大切です。
 概して、食べ物だけで便秘を治すのはなかなか難しいもの。運動や排便習慣など、よい生活習慣とともに総合的に根気よく続けて、あるとき気がついたら治っていたというのが理想です。
食べ物

下痢腹に優しい食事とは
 急性下痢は、食中毒によるものや、アレルギー性下痢など、さまざまですが、比較的早く治まるものなので、半日から1日絶食し、やがて重湯やくず湯、おかゆに梅干しから始め、煮うどんとかトーストなどに移っていくのがよいでしょう。消化吸収のよい糖質から、わずかでもエネルギーの補給ができます。副食は白身の魚や煮野菜、卵、豆腐など、ちょっと回復傾向になると、食べたいなとか、これなら、と思えるものが出てくるものです。そういう感じというのは、意外に・当たっていると思うのです。乳製品はやや控えて欲しいですが、大事なのは、下痢によって失われた水分や電解質を十分に補給すること。絶食中でも、水分は自由にとったほうがよいのです。あっさりした野菜スープを飲むのもよいですね。水分やカリウム、少しの塩分を補うことができます。
 慢性下痢に対しては、消化吸収がよくて栄養価の高いものをバランスよく、というのが基本です。繊維の多い、腸粘膜を刺激するもの、野菜でも、ごぽうとか、たけのこなど、みるからに筋っばいものは避けて、葉物なら、軸はやめて葉先を煮浸しにするとか、キュウリなどの固い皮はむいて、いも・豆類は裏ごしにして使うなどするとよいですね。コーヒーや酸味の強い果物などは避けたほうがよいものですが、果汁や、乳製品でも∃-グルト程度ならよいでしょう。
食べ物

快便のためのお話②
微妙な水分バランスが狂っている下痢便、原因を除去し、おなかに優しい食事を
●ウンコが軟らかくなりすぎるワケ
 便秘とともに、楽しく気持ち良いウンコを邪魔するのは「下痢」。もともとウンコ中の水分は70~80%と、そのほとんどを占めるものですが、それが少し増えるだけで、理想のとぐろ巻きがビチビチの不愉快な水様便に化けてしまうのです。
 いったいなぜ、ウンコ中の水分量は増えるのでしょうか?その理由は大別して二つ、腸での水分のやり取りがうまくいっていないか、あるいは、腸の運動がおかしくなっているせいなのです。
 (前者)には、腸で吸収されにくい食べ物(例えば、牛乳に含まれている乳糖)を食べたため、浸透圧現象で腸から水分が放出されてしまう「浸透圧性の下痢」、食中毒などによる腸内の炎症部分から滲出液が出るための「滲出性の下痢」、それにコレラ菌がつくるコレラトキシンなどが原因となり、腸から大量の水分が分泌される「分泌性の下痢」などがあります。
 本来、腸では、食べ物(の分解されたもの)とともに水分が吸収されていくものなのに、逆に水分をもらっているわけです。それでは最終的な水分量が増えるはずです。
 (後者)の腸の運動に由来する下痢は、主に腸の運動が活発になりすぎ、便から水分が吸収されるひまもなく大腸を通過してしまうために起こるもので、「過敏性腸症候群」などがそれに当たります。なお弛緩性便秘のように、逆に腸の運動が低下しているときにも、たまった食べ物/便が腸を刺激し、水分を分泌させるなどして下痢を引き起こすこともあります。
 食べ過ぎると下痢を起こすのは、腸が吸収しきれなかった水分が、腸からの水分放出を促す一方、食べ物と増えた水分の両方が陽を押し広げ、刺激して、腸の運動を活発にしすぎるためで、現実には、大別した二つの理由が絡み合ってウンコを軟らかくしているのです。
●下痢対策は原因の除去とおなかに優しい食事
 ウンコ中の水分量を正常範囲に戻すには、まず下痢を引き起こしている原因を除去するのが基本。例えば、食中毒などで腸から水分が分泌されるのは、有害な細薗を洗い流そうという、からだの防御反応の一部です。だから医師は下痢を止めるより腸内の炎症を抑えたり細菌を駆逐することを先決とします。患者の心がけとしてはまず、脱水症状を防ぐために、からだから失われた水分の補給を行うことが肝要です。
 食べ過ぎや、浸透圧性で、例に挙げた乳糖などによる急性の下痢は、一時絶食したり、乳糖を含まない牛乳にかえることで、原因は除去され、回復します。ストレスなど、メンタルな理由も原因と考えられる、慢性的な下痢では、心理療法を含めた脱ストレスの努力と、おなかに優しい食事といった日常的な努力が基本。ただし、神経質になり過ぎても、よいことは何もないので、栄養のあるものを、おいしく食べるよう心がけましょう。
●こんなときはひとまず医療機関へお茶の時間
 ウンコを毎日じつくり観察していると、体内の異常の発見という効能があります。
 「便に血液がついている場合や、粘液便などの特殊な便が観察された場合、よいチャンスだから、ひとまず医療機関へ行って診てもらうことです。また、夜中に目が覚めてしまうような、つまり夜間症状を伴う下痢のときや、体重減少を伴う便秘のときにも、ひとまず病院に行く必要があります。
 診てもらって何も異常がなければよし、異常が発見されれば早期診断-早期治療。これが快便術の最終的な効用です。




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