院長の健康管理

No1 自分の健康は自分でならう。最近は情報がとびかっている。ほんとうに正しい情報ならよいが、いたづらに目を造つける為にキワどい見出しが踊っている。
 健康食品といわれるものをかなり多くの人々は高いお金で買っている。先生、これがよいといって子供が送ってくれたがどうでしょう。テレビ、雑誌によく効いたとでていますが、と相談に訪れる。
 高血圧、糖尿病、脳卒中、ガンなどは成人に多いので、かつて成人病といわれた。そのため食生活が変り、最近は子供にも成人病がみられるといった珍妙な表現もされるようになった。国際的に成人病といっても通用しない。成人病は使用されなくなり生活習慣病と呼ばれるようになった。この方が病気の性質を表現していて適切と考えている。
 日々の生活習慣が病気に直結することは明らかである。医食同源という言葉があるが、医薬のもとは正しい食生活にあるということを意味している。よいものを食べれば体によい。そのよいものが昔から色々各国でいわれており、その成分を中心にしたものが、現在健康食品と名付けられて売られている。
 民間療法としてドクダミ、クコ、アマチヤズル、熊ザサ、アロエなど有名だ。更に最近はビタミンA、C、Eカルシウム、DHA、その他沢山ある。健康食品といっても、体によいばかりではなく予想出来なかった危険もある。かつてトリプトファンは色々の名前で売られていた。効果として不眠に悩む人に最適の飲み物、海外旅行の時差ぼけによいなどと宣伝されたが、わづか一年で推定患者6,000人、死亡38人の事件に発展している。この原因はトリプトファン自体か不純物に問題があるのか検討されている。この種のものには、どんな作用があり、どの位の量をとればよいのか、効果は何時頃みられるのかは明記されていないことも多い。効く、効くばかりを期待してはならない。
No2  検診、ドックばやりである。検診、ドックで何ともないと言われながら、急死したり、病気が見つかり入院する話もよくきく。
 貴方が病気があるから精密検査をうけなさい、どうも最近、体の調子が悪いので診てもらいたいという時、さてどこにかかるかに迷うだろう。病院がよいか、開業医がよいかその選択を考えてみよう。
 家庭医、かかりつけ医といった言葉を聞いたことがあるだろう。自分の健康に関することを気楽に相談できるドクターを見つけることが大切である。何事も相談の上、紹介状を必要なら書いてもらい病院を訪れるべきだろう。何事もスムースに無駄なくその後の事が進んでいく。そもそも病院と開業医の役割は異なっている。今年のジャイアンツをみればよく判る。一人一人の選手はよそのチームに行っても4番を打つ力の人が何人もいるし、一軍選手で通用する人が集まっているが、その勝率は悪い。すばらしい機械を備えていればよいという訳ではない。
 貴方の今の病気なら、この病院がよいだろうといったキメ細かな診療が何より大切である。開業の場合、自分の守備範囲を心得ていることが肝要である。将来も考え、病院で診てもらった方がよい人、自分のところでよいという判断が大切である。とことん診て、悪くなったら病院へといった態度は落第である。
 患者さんの評判も選択の基準になる。転勤の場合は皆目見当もつかないので、近所の判評も参考にするとよい。
 良い病院が必ずはやっているというわけでもない。大きい病院はどこでも人が混んでいる。患者さんの考えが病院志向になっているからである。カゼ、胃痛、高血圧など何も病院で診察をうけなくとも、適切な医療をしてくれる開業医は沢山近くにいる筈である。親切で、人あたりがよいことは大切であるが、何でもハイハイと聞いてくれるのも心もとない。
No3  診察する側は勿論だが、診察を受ける側も双方とも相手を思いやる気持ちが大切である。特に混んでいると、長い時間待ってやっと自分の番が来たと思っても、後に待っている人がいると気になって、色々の疑問について質問したりすることを遠慮してしまったり、診察が終わってから、聞くべきことを質問しなかったりと後悔することも多い。
 自分の病気でも要領よく簡潔に述べられるよう考えをまとめたり、メモにしておくとよいと思う。その際、家系が関係する病気に、糖尿病、アレルギー疾患、高血圧などがあり、家系の祖父母、両親、兄弟の病気についても聞かれるので、あらかじめまとめておく必要がある。次いで、自分が今まで経験した病気に何があり、何才頃かも記憶をたどっておいてほしい。次に今日、何故受診したかについて病状を具体的に、日時の経過とともに話せるようにしておいてほしい。カゼをひいたといわれても、カゼの症状は多く、それにより検査や処方もちがってくる。
診療時 のどが痛い、せきが出る、たんが出る、鼻水、だるさ、熱の程度、せきも昼と夜のどちらが多いか、その程度によって本人がカゼとおもっていても違った病気も疑われることがあるわけである。
 消化がわるくてと具体例のない訴えも多い。よく聞くと食欲がない、ゲップ、胸やけ、便がやわらかい、など人により意味することがちがう。ドクターと患者さん双方での会話のやりとりがあって初めて正しい病状の把握が可能となる。出発点がまちがうと誤診のもとにもなる。
 診療時には、お化粧はしない方がよいし、衣類も脱ぎ易いもの、診療時には前開きの下着がよいと思う。和服は脱着に不便である。お年寄で仲々うまく表現出来なかったり、体が不自由な人もいるが、出来れば家族の人が付き添ってほしい。色々な事情もあってお一人で来られる人も目立つようであるが。
 中新潟クリニック 医師 伊藤慶夫




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