子どもの感染症

赤ちゃん

 感染症とは、主に細菌やウイルスによって起こる伝染症の病気の総称です。ここでは子供の感染症を紹介します。

◆風 疹

 風疹は風疹ウイルスが原因でおこります。感染者の唾液が飛び散ってうつる飛沫感染で、2、3週間の潜伏期間があります。
 主な症状に、発熱や鼻炎、頭痛がおこり、顔や首、腕などにピンク色の斑点状の発疹が出てきます。発疹があらわれる前に、耳のうしろや後頭部のリンパ節が腫れるのが特徴のひとつでもあります。また、39度くらいの熱が2、3日続きますが、発熱しない場合もあります。一般的には年齢の低い子どもほど軽い症状で、成長が進むにつれて重くなってしまいます。特に治療法はないので、風邪と同様の看護をしてあげるといいでしょう。
 一度風疹にかかると、ほぼ一生にわたって、免疫ができます。発疹が消えるまでは、子供の登園、登校は禁止となります。

◆はしか

 麻疹ウイルスによる感染力の強い病気で、感染すると99%発病します。感染者の鼻水、くしゃみ、咳などから感染し、潜伏期間は9~12日です。
 症状は、まず熱、くしやみ、鼻水、咳などが出て、結膜炎もおこります。こうした時期をカタル期といいます。さらに口内の内側が白くややふくらんでくると、まわりに輪のように赤くなった斑点があらわれるのが特徴です。そして再び熱が出て、くしやみや咳もひどくなり、顔や首などにも発疹が出てきます。このような発疹期には、一過間は隔離が必要となり、熱が引いて、赤い発疹が紫色になってくる回復期まで待ちます。
 はしかの治療法はとくにありませんが、安静にして、保温と栄養補給に気をつけることが必要です。はしかは重くなると、気管支炎や中耳炎、または、脳脊髄炎をひきおこすおそれもあるので、医師の診断をうけることが大切です。現在はワクチンで予防でき、1才から6才の子どもを対象に接種がうけられます。

◆水ぼうそう

 水痘ウイルスによる感染症で、2才から8才の子どもにかかります。感染した子どもが触れたものに接触した場合や、咳やくしやみによる飛沫感染から伝染します。ほかにも水痘の水疱や、大人の帯状疱疹の水疱によって直接感染する場合もあります。
 潜伏期間は12日~20日ほどで、発熱とともに小さな丘疹があらわれ、赤やピンク色したくまの中に水がたまってきます。これを水疱といい、発疹は2日程でかさぶたに変わり、1~3週間で治ります。発疹は胴体に多く出て、口内の粘膜や毛髪部に出ることがあっても、腕や足に出ることはありません。発疹の出かたが、水疱と丘疹、かさぶたがまざつてできるのが特徴です。
 治療にはフェノール亜鉛華リニメントという白い軟膏で、早く乾燥するように心がけて、発疹がかさぶたになるまでは入浴は避けましょう。また発疹はかゆいので、ひつかいて化膿しないように爪をまめに切って、手や足をせっけんで洗うようにしましょう。未感染者との接触も避けなければいけません。

◆おたふくかぜ

 おたふくかぜは、流行性耳下腺炎ともいい、感染者の唾液中のムンプスウイルスによって感染します。晩冬から春に発症することが多く、潜伏期間は18日ほどです。
 おもな症状は発熱や食欲不振などで、特徴としては、耳の下にある耳下腺が腫れ、まず片側がふくれて、つぎに反対側に口を動かすと痛みが走ります。耳下腺の腫れがひくまでは、未感染者にうつるおそれもあるので、隔離する必要があります。
 おたふくかぜにも合併症のおそれがあるので、医師の診断が必要です。また、耳下腺には湿布をはり、唾液の分泌が高まると、耳下腺の痛みがひどくなるので、食事は薄味のものにするように心がけましょう。

◆リンゴ病

 リンゴ病は、伝染性紅斑ともいい、両頬がりんごのように赤くなるウイルス性の感染症です。
 手足に大理石模様の発疹が出て日光にあたると大きくなります。しかし、熱は二日ほどで引いて発疹も4~7日ぐらいで自然に消えます。そのため、とくに治療の必要はありません。

◆溶連菌感染症

 溶連菌という細菌が原因でおこる感染症で、さまざまな症状をひきおこします。もっとも多く見られる症状に咽頭炎、扁桃炎があります。これらにかかると咽頭が赤くなって痛み、首のリンパ節が腫れて頭痛や腹痛、関節痛をおこすこともあります。
 また、中耳炎の原因菌となったり、そのはかリウマチ熱や猩紅熱、血管性紫斑病や急性腎炎、膿痂疹、丹毒なども溶連菌感染症が原因でおこります。治療には、ペニシリンなどの抗生物質が用いられます。

◆プール熱

 プール熱とは、アデノウイルスが原因でおこる咽頭結膜熱のことをいいます。夏に感染しやすく、38~39度の高熱が続いた後、結膜炎をおこし喉やリンパ節の腫れも出てきます。発熱は、夕方から夜間にかけて続くこともありますが、比較的早くに回復します。

◆リウマチ熱

 リウマチ熱は咽頭炎や扁桃炎などのA群溶連菌感染から3週間後風邪のぶり返しのような症状があらわれます。原因は溶連菌に対してつくられた抗体が、からだを攻撃するためにおこる、自己免疫疾患によるものとされています。
 3才から15才までの子どもに多く見られる感染症で、おもに発熱、腹痛、関節の痛みなどが数日間続きます。また、手足が変な動きをしたり、話すことや字を書くことが困難になることもあって、発疹などもできたりします。
 治療法には、ペニシリンなどの抗生物質やアスピリン、副腎皮質ステロイド薬などを用いますが、後遺症に十分注意しなければいけません。とくに心臓に残った場合は、天性弁膜症の原因のひとつにもなるリウマチ性心炎をひきおこす恐れがあります。患者にはしばらく十分な治療と、病院での安静が必要です。

◆ジフテリア

 ジフテリアは法定伝染病のひとつで、ジフテリア菌によって感染します。
 ジフテリアの特徴は、感染した場所によって症状が異なることです。鼻に感染した場合、鼻の奥から扁桃し、上咽頭から、さらに耳にまで炎症が広がります。また喉に感染した場合には高熱を発して、扁桃が肥大するにともなってリンパ節が腫れあがってきます。犬が吠えるような咳や喘鳴が出るのも特徴のひとつです。
 ジフテリアの予防にはジフテリア、百日咳、破傷風に適用する、三種混合ワクチンを用います。
 治療には、ジフテリア抗毒素血清を注射して、エリスロマイシンによる抗生物質療法が行われますが、ジフテリアもリウマチ熱と同様に、後遺症があり、神経麻痺をおこすおそれがあります。

◆百日咳

 百日咳は、感染者からの飛沫感染によっておこる、乳幼児、小児の呼吸器感染症です。
 10~16日の潜伏期間の後、はじめに風邪のような症状があらわれ、しだいに咳がひどくなってきます。咳は夜間に激しく、2、3分間隔でおこり、粘り気のある疾が出てきます。また嘔吐発作もともないます。
 治療には、抗生物質を用いますが、回復するまでに二ケ月を要することもあります。

◆破傷風

 破傷風は土の中にすんでいる破傷風菌によっておこる感染症です。現在では医療の発達により、新生児破傷風は激減していますが、外傷などによって単発的に発生しています。いったん発症すると、重症になることが多いため、予防接種をしておきましょう。

◆日本脳炎

 日本脳炎は、蚊によって媒介される日本脳炎ウイルスが原因の感染症です。10才以下の子どもに多く、おもな症状には急な発熱、嘔吐、頭痛がはじまり、さらにすすむと、意識障害や痙攣などひきおこすこともあります。予防接種はきちんと、つけるようにしましょう。

◆寄生虫感染

子供 虫が体内に寄生することによっておこる感染症で、おもに回虫症、条虫症、蟯虫症、鉤虫症などがあります。
 回虫症、鉤虫症、条虫症では、虫が腸内に入りこんで腹痛や吐き気、下痢などの消化器症状をひきおこします。さらに鉤虫症は貧血をおこし、乳幼児では血便がみられることもあります。
 蟯虫症には薬を服用し、肛門部に軟膏を用います。
 ほかの寄生虫症には、駆虫薬を服用して治療を行います。



inserted by FC2 system