急性中毒・誤飲の対処法

 新製品が次々に登場し身の回りには多くの商品がありますが、それらの多くは化学物質でできています。生活が便利になる一方で、使用法を誤ったり誤飲すると、中毒を起こすことがあります。

●乳幼児や痴ほうのお年寄りの誤飲に注意

 日本中毒情報センターには1998年に人の急性中毒に関して36,125件の問い合わせがありました。乳幼児の誤飲が多く、約80%を占めます。成人では誤使用、誤飲、仕事中の暴露や自殺企図による中毒も起こります。特に痴ほうのお年寄りの誤欽は大量に食べることが多く、生理機能の低下もあるので、毒性が強くなくても重症になることがあります。問い合わせの物質は家庭用品(たばこ、化粧品、洗浄剤など)が多く、ついで医薬品、農薬などで、自然界にある有毒な魚介類や蛇、植物、キノコによる中毒も起きています。

●原因物質の確認が大切

 中毒事故が起きたときは応急手当を行い、必要であれば医師に診てもらいます。少量でも中毒を起こす危険性のあるもの(表1参照)から、毒性が低いもの(表2参照)までさまざまですので、毒性が分からない場合は医療機関か日本中毒情報センターにお問い合わせください。その際は、必ず暴露したもの(容器や説明書)を持って受診または問い合わせてください。

●適切な応急手当を

 応急手当は中毒物質を迅速かつ適切に取り除くことが重要で、予後にも影響します。

・飲んだとき

・・・・・牛乳(または水)を飲ませて希釈し胃壁を保護します。防虫剤などの脂溶性物質の場合は牛乳ではなく、水を飲ませます。
 通常4時間以内であれば吐かせますが、次のような場合は吐かせてはいけません。
① 灯油、ガソリン、シンナーなどの粘度の低い石油製品
 ……吐くときに気管へ入りやすく、少量でも入ると肺炎を起こします。
② 強酸、強アルカリ、腐食性の強い物質
 ……やけどを起こす作用があり、吐くと再び食道やのどを通るので障害をひどくします。直ちに牛乳、 卵などを飲ませて作用をやわらげます。
③ ボタン型・コイン型電池
 ……気道をふさぐ可能性があります。胃から食道に戻り停滞するとさらに危険です。
④ 意識障害やけいれんを起こしているとき
乳幼児の誤飲

・目に入ったとき

・・・・・流水で直ちに洗います (できれば15分以上)。洗った後も痛みや刺激感があったり、酸性やアルカリ性の強いものが入った場合は眼科で診てもらいます。

・皮膚に付いたとき

・・・・・直ちに水と石鹸で洗います。付着した衣類はすぐに脱がせてくださ。
表1 注意を要するおもな家庭用品
化 粧 品 白髪染め(永久染毛剤〉、パーマ液、マニキュア液、除光液
洗 浄 剤 類 酸性・アルカリ性洗浄剤(商品に表示〉、塩素系漂白剤 〈原液)
文    具 修正液うすめ液、接着剤はがし液
石 油 製 品 ガソリン、シンナー、石油、ベンジン
殺 虫 剤 うじ殺し剤、園芸用薬剤、ほう酸団子
そ  の 他 医薬品、逆性石験、固形燃料、生石炭、たばこ浸出液、電池類、
防虫剤(樟脳、ナフタリン)
表2 毒性が低い家庭用品 (大量でなければ心配ありません。様子を見て、もし具合が悪いようなら、医師に診てもらいます)
化 粧 品 口紅、クリーム、乳液、ファンデーション、ベビーパウダー(固形)
洗浄剤類 ウェットティッシュ類、石鹸
文    具 インク、鉛筆、パステルクレヨン、クレヨン、水彩絵の具(学童用)、
スタンプインク、チョーク、粘土、のり、ボールペンインキ、油性・水性ペン
殺 虫 剤 類 蚊取り線香、蚊取マット、液体蚊取り
そ の 他 紙おむつ、植物活力剤、シリカゲル、線香、体温計水銀、脱酸素剤、
たばこ(2cm以下)、使い捨てカイロ、肥料(固形)、マッチ、ろうそく




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