健康食品の利用は慎重に

 健康食品の市場規模は年々増えて、現在七〇〇〇億円近くとみられています。新しい食品素材が次々に開発され、多種多様な新商品があふれています。これらの健康食品を消費者アピールで分けると、だいたい三つのタイブがあります。

ダイエット型の食品

 手軽にやせたい若い女性を対象にした商品がほとんどで、市場規模は五〇〇億円くらいとされます。プロティン、グルコマンナン、オオバコ、ギムネマなどの錠剤・カプセルのほかに、飲料、お茶、スープに添加したものがあります。最近はガルシニア、キトサン、カルニチン、カプサイシンなど次々と耳慣れない名前が登場しています。
 摂取経験のない材料や特殊成分を濃縮したものは体質に合わないことがあり、特定のものに偏って多量に摂取し続けることは危険です。食事管理をしないで健康食品だけでは効果は上がりません。
健康食品の多量摂取

クスリ型の食品

 この分野の食品が健康食品市場のほとんどを占めています。クロレラ、ローヤルゼリーを筆頭に高麗人参、青汁、霊芝、各種の健康茶が売り上げを伸ばしています。最近では、銀杏葉エキス、ノコギリヤシ、松樹脂抽出物など欧米のハーブ素材が市場にたくさん出てくるようになりました。
 持病を治すために健康食品だけに頼り、かえって病気を悪化させたり、多量の摂取で健康障害を招く例もあります。病気は医師に相談しましょう。また、利用する場合は「ワラをもつかむ思い」で一度に多量に摂取したりしないようにしましょう。

サブリメント型の食品

 ビタミン類やミネラル(カルシウムや鉄) などの栄養素を錠剤にした食品で、栄養補助食品ともいいます。飲料、ビスケットなどのし好品タイプのものも販売されています。成分としてはカルシウム、ビタミンC、E、複合ビタミン、ベータカロチン、鉄、食物繊維、DHAなどがあります。
ビタミン類

栄養素も要注意

 これらが栄養素だからといって安心はできません。例えば、過剰のカルシウム摂取は鉄吸収を妨げ貧血を招き、マグネシウムとの比率が変わることで心筋梗塞の恐れが出てくることが分かっています。それにビタミンCはレモンの代わりにはなりませんし、カルシウムは牛乳そのものとは違います。サプリメントに頼って食事をおろそかにすると栄養バランスが崩れる心配があります。

科学的根拠のはっきりしないものがある

 サプリメント食品は目下、国際機関で効能表示や成分規格が検討されているので、そのうち日本でも基準ができると思われます。しかし、現在はまだ健康食品はすべて法的には食品として扱われ、医薬品や特定保健用食品のように効果・効能を表示したり、宣伝することは禁じられています。
健康食品は効果効能表示禁止 これらの効果・効能については、科学的証明の難しいものもあり、期待通りの作用があるのか、はっきりしないものもあります。実験データの拡大解釈や法規制スレスレの宣伝がまかり通ったりします。科学的知識を持たない一般消費者がその効果・効能や利用法について正しく判断することはほとんど不可能です。初めて耳にするような健康食品には慎重に対処することが望まれます。
  
国民生活センター 『くらしの豆知識99』より




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